ファッション

毛皮のトウモロコシ? JFAファーデザインコンテスト開催

 日本毛皮協会(JAPAN FUR ASSOCIATION以下、JFA)は昨秋、「JFA ファーデザインコンテスト2018」を開催し、各賞の発表を行った。このコンテストは03年に始まり、これまでを通算した応募総数は4万2609点に上る。目的は、毛皮の正確な知識の習得を目的に服飾専門学校・大学などでJFAが実施している「素材加工セミナー」で得た知識を、具現的に作品化する機会を提供することだ。

 デザイン画による1次審査を通過すると、JFA加盟社の協力を得て作品が制作されるが、その作品制作における入選者と加盟社との共同作業に加え、海外研修および国際毛皮連盟主催の2つの国際毛皮デザインコンペティションへの参加を通じて、クリエイターの育成にもつなげたいと考えている。

 18年は“活かそう自然からの贈り物”をテーマに、応募総数2046点の中から16点が選出され、モデル着用のファッションショーが開催された。グランプを受賞したのはトウモロコシを表現したポップなデザインが目を引いた、愛知文化服装専門学校の中村仁美さんだ。中村さんは「トウモロコシはバイオ燃料として注目される植物。豊かで美しい地球を温暖化から守るために、バイオ燃料は役立っている。トウモロコシの形を生かし、ファーの柔らかな温もりに包まれた愛らしいデザインにした」とコメントを寄せている。中村さんには賞金50万円と、副賞としてサガデザインセンター研修旅行および2019年香港インターナショナルファー&ファッションフェアへの招待が贈られた。

 優秀賞は自然の情景を想起させた東京モード学園の本村光輝さんが受賞した。「ミンクとアザラシの毛皮や綿や麻などの植物繊維を素材に、山脈をイメージした切り替えとステッチを使い、地形図の等高線のような模様を出した。毛皮は染色やプリントをせずに、自然の色と模様で自然の美しさを表現。山=自然と人間の共生と考え、化学繊維や人工物の副素材を用いて自然と人工の共存を表現した登山ウエアを提案した」とコメントした。本村さんには、賞金20万円と副賞としてコペンハーゲンスタジオ研修旅行が贈られた。

 コペンハーゲン・ファー賞は大阪文化服装学院の早田賀音さんが受賞した。「毛皮は現在、多くの人に着られている。その他インテリアとして飾られることもある。ファーの使用が厳しくなってきている今はさまざまな用途に対応できる物が必要とされているのではないか。服の要素とアートの要素を併せ持った私なりの『サステイナブル』な服を提案。エリック・マックのアートを基に飾っても様になるように制作した」とコメントした。早田さんには賞金10万円と、副賞としてコペンハーゲンスタジオ研修旅行が贈られた。

 その他、サガ・ファー賞は文化ファッション大学院大学のニコラ・ティーレさん、NAFA賞は大阪モード学園の朝香はる菜さん、HKFF賞は愛知文化服装専門学校の井辺弥月さんがそれぞれ受賞した。

 今年の「JFA ファーデザインコンテスト2019」の、応募締め切りは9月上旬を予定する。

問い合わせ先
日本毛皮協会
03-3663-1120