営業時間内にミュージシャンによる生演奏や顧客が参加できるワークショップ、サロン内での陶芸品の販売など、ヘアデザイン以外での美容室の新たな価値づくりを進めている美容室「ジェノ(JENO)」。今回、堀江昌樹「ジェノ」代表に、この取り組みを始めた狙いを聞いた。
WWD:「ジェノ」では“味噌づくり”や“日本酒”のワークショップ、営業中の生演奏、陶芸品の展示販売など、これまでの美容室とは違った取り組みを行っているが。
堀江:僕らは美容師なので、“ヘアデザインを通して人をハッピーにする”ことを第一に考えていますが、それはできて当たり前。美容室でヘアデザイン以外のハッピーを提供できたらいいなと思い、来店してくれた人が新しいモノやコトに出合えるようにイベントを企画しています。SNSの時代だからこそリアルな場を大切にしたいし、そういうのも美容室だからできることなのかなと思っています。
WWD:具体的にはどんなことを行っているのか。
堀江:まずは“音の日”というのを月に1回設けていて、土曜日の営業時間中にミュージシャンの坂ノ下(典正)さんに来ていただいて、サロンの小さなスペースを使って生演奏をしてもらっています。坂ノ下さんには演奏してもらう代わりに僕が髪をカットする、いわば物々交換的な感じでお願いしています。他にも日本酒について学ぶワークショップや味噌づくりのワークショップを定休日などにお客さまを招いて行っています。これはお客さまに詳しい人がいたので、お願いしてやってもらいました。「ジェノ」を通じてお客さま同士がつながっていく。それを見ているとやってよかったなと思いました。唐津焼やスカーフブランド「ラ(LA)」の展示販売を行いましたが、想定以上に売れて、ヘア製品以外の新しい美容室の店販の可能性を感じています。
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WWD:「THREE」との取り組みを積極的に行っているが?
堀江:昨年、東京・丸の内にオープンした「センソリアム スリー(SENSORIUM THREE)」にも水・金・土の週3回、ヘアアドバイザーとして「ジェノ」のスタッフが1人勤務しています。主に若手のスタッフが中心ですが、ヘアサロンとは違った接客体験や美容情報も得られるので、すごいいい経験になっています。
WWD:こうした取り組みを始めて、顧客からの反応は?
堀江:売り上げが劇的に上がるということはありませんが、お客さまからは「いつも新しいことやっていますね」ってよく言われるようになりましたね。「常に進化している」というイメージを持ってもらえるのはすごくよいことで、スタッフのモチベーションにもつながっています。お客さまにもそうしたパワーを感じてもらえていると思います。
WWD:今後のイベントの予定は?
堀江:“音の日”は引き続きやっていくのと、2月16日は花屋の「トレフル」のポップアップを、3月にはまた味噌のワークショップを行う予定です。春頃にはセレクトショップと組んでナイトフリーマーケットもやりたいと考えています。今年もいろいろと新しいことに挑戦していきたいですね。