ファッション

女性編集長がメンズの祭典「ピッティ」で語るクラシコイタリアへのLOVE

 世界最大級のメンズウエアの祭典「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO以下、ピッティ)」を取材する日本メディアは少なくないが、女性編集者として10年にも及び取材を続けているのは、世界文化社の平澤香苗「メンズ・イーエックス オンライン(MEN'S EX ONLINE)」編集長をおいて他にいないだろう。ジャケットやスーツに革靴という平澤編集長のクラシコイタリアな着こなしは、現地の伊達男たちも一目置くもの。実際取材中もパパラッチのレンズが絶えず向けられていた。イタリア好きが高じて、2018年10月には実用イタリア語検定の準2級を取得したという。クラシコイタリアの世界で、アイドル的に愛されている女性編集長に4日間密着した。

WWD:クラシコイタリアな平澤編集長の着こなしは、「ピッティ」会場にあふれる着飾ったイタリア男たちからも高く評価されている。「ピッティ」的ファッションに傾倒したきっかけは?

平澤香苗「メンズ・イーエックス オンライン」編集長(以下、平澤):「メンズ・イーエックス」に配属されたのは、2008年。ファッション担当だったこともあり、スーツを勉強するようになりました。日々触れていると「スーツを着る男性って格好いいな」と思うようになり、やがてスーツ特集ともなるとウキウキするように(笑)。初めはコーディネートチェックに口を出してはうるさがられましたが、次第に上司やスタイリストさんに認められるようになり、自信になりました。そうこうしているうちに自然と、自分もジャケットを着るように。やっぱりジャケットを着ると、背筋が伸びるんですよ。今では猛暑の夏でも必ず携行します。

WWD:「ピッティ」取材には10年ほど来ているとか?

平澤:09年の夏から、ほぼ欠かさずですね。実はそのときはスカートやワンピースで来てしまい、まるで相手にされなかったんです。そんな苦い経験もあり、まずは「場にふさわしい服装」を意識することから始めました。そして「イタリア語もできたほうが、いっそうコミュニケーションが図れるのでは?」と勉強を始めました。勉強はもう7年になります。イタリア人の友人・知人も増え、取材先のネットワークも広がりました。「ピッティ」会場でも、よく声を掛けてもらいます。そうなるとやっぱりうれしいので、「もっともっと!」と前のめりになりました。

WWD:郷に入ったから郷に従ったと?

平澤:はい。イタリア特有の、適度にユルい感じも合うのかもしれません(笑)。「ピッティ」でのブース取材はもちろん、近郊の工場にも足を運ぶようになりました。生産の最前線で、イタリアのモノ作りのよさを実感するうちに、「自分もカスタムオーダーしたい!」と服を作っていただく機会が増えました。オーダー服は、やはり着心地が抜群。日本ではなかなか見つけられない生地もイタリアには多く、どんどん引かれていきました。結果、ワードローブもクラシコイタリア寄りに。最近では生地を反物で買って、出張時にイタリアまで持参してジャケットやスーツをオーダーすることもあります。

取材時の“装備”は軽さ重視でセレクト

WWD:「ピッティ」の会場は6万平方メートルと広く、出展ブランド数も1200以上。イベントやショーは、フィレンツェ市内の別会場でも行われる。取材時の必携アイテムは?

平澤:実は、あんまりないんです(笑)。会期の4日間はとにかく歩き回るので「荷物は極力少なく、軽さ重視」で臨んでいます。必ずバッグの中に入れているのは「ライカ(LEICA)」の“D-LUX”と、アクションカメラの“ゴープロ(GoPro)”くらい。“D-LUX”のストラップは、ナイロン製クライミングロープを使った「EPM」の“ヨセミテカメラストラップ”です。肩への負担が少ないんです。

WWD:筆記用具は?

平澤:ノートって、あまり取らないんです。というのも最近は自分で撮影することも多いので、頭で覚えるようにしています。もちろん持ってはいるんですが、あくまで軽さ重視なので、ブランドにもこだわりはなくて。

WWD:つまり平澤編集長のファッションこそがコミュニケーションツールだと?

平澤:そこまでは言いませんが、ファッションのお祭りですし、クラシコイタリアへの愛を服装で表明することは大事だと思います。

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