「フェンディ(FENDI)」の2019-20年秋冬ミラノ・メンズ・コレクションに、同ブランドのウィメンズ・コレクションのクリエイティブ・ディレクターを50年以上にわたって務めているカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)とのコラボ作品が登場した。カールが同ブランドでメンズを手掛けるのはこれが初めてだ。
「フェンディ」の創業家に生まれ、その3代目としてカールとともにクリエイティブ・ディレクターを務めるシルヴィア・ヴェントゥリーニ・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)は、「数シーズンほどゲストデザイナーと協働してきたので、今回も自然な流れで協働を考えた。カールはスタイルアイコン的な存在。彼自身のスタイルにインスパイアされたので、メンズ・コレクションでのコラボを打診したところすぐに快諾してくれ、素晴らしいシルエットのスケッチを送ってくれた」と語る。今回のコレクションは、古典主義と未来志向を共存させたものだという。シルヴィアは、「フォーマルな仕立てを再解釈した。ジャケットは構築的なシルエットで、襟は片方がショールカラーでもう片方はクラシックな形とアシンメトリーなデザインになっている。そうした“共存性”がコレクション全体に通底している」と説明した。スポーツウエアがファッション界を席巻する中、「フェンディ」はさらにフォーマルなデザインを盛り込んでいくと語り、「現在はクラシックなものこそ破壊的だ」と笑顔で話した。
カールは「新しい素材や予想外のパターンを使うなど、ウィメンズの影響を受けたモダンなコレクションになった。私は物事を繰り返すことはしないので、協働は今回のみだ。打診を受けてシルヴィアに手紙を書いたが、全てがとても自然にまとまっていった。シルヴィアのことは子どもの頃から知っており、その彼女も今や母であり祖母である大人の女性だ。50年以上にわたる、とても深く人間的な関係性でつながっているので、余計な説明は必要なかった。ショーの当日、会場に行けないのは非常に残念だが、幸運を祈っている。コレクションは間違いなく成功を収めるだろう」とコメントした。なお、カールの手によるスケッチには「親愛なるシルヴィアへ。ストレートのラペルは、ボーイズにもガールズにも似合う。大きなハグと愛を込めて、カール」とメッセージが添えられている。
セルジュ・ブランシュウィッグ(Serge Brunschwig)=フェンディ会長兼最高経営責任者は、「メンズ・コレクションでカールと協働するというシルヴィアのアイデアには私もカールも驚いたが、素晴らしい考えだと思うので、カールが快諾してくれて非常に光栄だ。彼は53年間も『フェンディ』に貢献してくれており、業界最長のパートナーシップだと思うのだが、今でも情熱を込めて新鮮なアイデアを出してくれる」と述べた。また、メンズでフォーマルウエアを復活させることについては「やめたことはない」としながらも、「よい仕立てのスーツを市場が求めているので、当ブランドにとっていいタイミングだ」と付け加えた。