ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)=メンズ アーティスティック・ディレクター率いる「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」2回目のランウエイショーは、没後10年を迎えたポップアイコン、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)に思いを馳せた。ただ、マイケルから得たインスピレーションは、伝説のステージや数々のPVで披露したステージ衣装のように安直なものではない。コレクションの根底に潜むのは、性別や人種、年齢、音楽の嗜好などを超越し、あらゆる人を魅了してきたマイケルのカリスマ性。キング・オブ・ポップの、その才能であらゆる人を結びつけたインクルーシビティ(包括性)に焦点を当てる。
ゆえにコレクションは、ひとえに自由だ。「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」との差別化図るべくフォーマルを主軸としたようだが、コートの上からジャケットを着たり、丈の長さが異なる2種のジャケットを重ねたり。ボリュームもさまざまでリラックス程度の体に沿うシルエットもあれば、異様に大きなダウンベストで巨大化したプロポーションもある。スーツ地のブルゾンや、アコーディオンプリーツのスカートをコーディネイトしたスタイルも現れた。
その後、コレクションは徐々にフォーマルから離れ、色と柄を帯び、ダイバーシティーのマインドが顕在化させる。シルクのシャツは、エッフェル塔などを描いたフランス。音楽に身をまかせる黒人を描いたフーディはアメリカ。そして総ビジューのブルゾンには、胸元にアフリカの地図。アイテムも、描かれたモチーフの出自も多様性に富んでいる。終盤は、万国旗を組み合わせたさまざまなアイテムだ。
アクセサリーはウエア同様、色も素材も大きさもさまざまだ。トランクを模したショルダーバッグは、柔らかなレザー。19年春夏の立ち上がりも大人気だったPVCバッグは、ネオンカラーで現れた。ウエアのようなアクセサリーも引き続く。
コレクションは、2000年代初頭にはさまざまなジャンルのミュージシャンに愛された、ニューヨークのイーストビレッジ地区を再現した舞台で行われた。