日本百貨店協会が発表した2018年の全国百貨店売上高は、前年比0.8%減の5兆8870億円で2年ぶりにマイナスに転じた。引き続きインバウンド(訪日客)や富裕層によるラグジュアリーブランド、また若い客層も増えている化粧品は活発に売れたものの、衣料品は精彩を欠いた。大型台風や地震による臨時休業も痛手になった。
衣料品の売上高は同3.1%減の1兆7725億円だった。08年の2兆7133億円と比べて、10年間で約1兆円も減収したことになる。売上高構成比でも08年の36.7%に対して18年は30.1%になった。販売苦戦だけでなく、この数年の間に加速した衣料品売り場の縮小も影響している。
一方で急速に存在感を増しているのが化粧品だ。化粧品の売上高は同9.5%増の5604億円だった。08年の3594億円と比べると1.5倍に成長した。売上高構成比でも08年の4.8%に対して18年は9.5%とほぼ2倍になった。百貨店各社は化粧品売り場の増床を次々に進めており、今後も拡大は続きそうだ。
訪日客による免税売上高は同25.8%増の3396億円と過去最高を更新した。東京オリンピックに向けて訪日客は今後も増加が見込まれるが、年明けから中国で旅行客が持ち帰る商品の免税範囲の規制が強化されており、転売を目的とした爆買いにブレーキがかかりつつある。百貨店の1月半ば時点での免税売上高は失速している店舗が多く、先行きは不透明だ。