ロンドン、フィレンツェ、ミラノ、パリと続いた2019-20年秋冬メンズ・コレクションの中で、もっとも大きな拍手喝采を浴びたのは、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」でも、キム・ジョーンズ(Kim Jones)の「ディオール(DIOR)」でも、エディ・スリマン(Hedi Slimane)の「セリーヌ(CELINE)」でもなく、「オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)以下、オム プリッセ」のプレゼンテーションでした。ブランドはパリメンズ3日目の夜遅く、パリ市内のポンピドゥー・センターで演出家兼振付師のダニエル・エズラロウ(Daniel Ezralow)によるプレゼンテーションを開催。「プレイグラウンド(PLAYGROUND)」と題したプレゼンの舞台には、つり輪やスラックスライン、それに陸上競技のトラックなどがあって、まるでサーカスが始まりそうです。ちなみにこのダニエルさんは、「オム プリッセ」のデビューイベント、青森大学の男子新体操部によるパフォーマンスの演出家でもあり、ブランドとは深い関係にあります。
「PLAYGROUND」とは「PLAY GROUND」、つまり「活動の場所」を意味します。「活動」とは、ある人にとっては仕事でしょうし、ある人にとっては遊び。そして、ある人にとってはスポーツです。20分のパフォーマンスは、そんな千差万別な「活動」に、「オム プリッセ」が寄り添うことを示すものでした。あるシーンでは、モデルたちは通勤着としてプリーツジャケットやブルゾンを着用して歩き、仲間と洋服を交換して(!!)ハイタッチ。またあるシーンでは、パフォーマーがスラックスラインの上で膝を曲げ、足首にスラックスラインを引っ掛けた状態で(!!)バランスをキープ。「オム プリッセ」は、いわゆるスポーツウエアではありませんが、どんな時も、誰にでも、どんな服にも馴染み、どんな体勢でも快適でいられるという特性をアピールします。
デビュー当初は、とっても小さなカプセル・コレクションのようでしたが、気付けば今はものスゴいバリエーションです。プレゼンにモチーフウエアは登場しませんでしたが、色やパターンのバリエーションは豊か。プリーツを全面に刻んでいない洋服だってあるんです。そんなカラフルウエアを着たモデルたちが、フィナーレでは吊り輪でクルクル、スラックスラインでグラグラ、トラックをグルグル、その間をピョンピョン。思い思いに「活動」しました。
本当に本当の最後のグランドフィナーレでは、来場した僕らが「PLAYGROUND」に挑戦。ロープによじ登ったり、吊り輪に捕まったり。ムービーの18分30秒からは、スラックスラインに挑戦してヘッピリ腰な僕が登場します(苦笑。そして、すかさず写真を撮ろうと後輩が駆けよってくれました。出来た後輩だw)。あぁ、ここで「オム プリッセ」を着ていたら、ちょっとはマシだったのでしょうか?