レナウンや仏SMCP、バリーを傘下に持つ山東如意グループは1月31日、インビスタからスパンデックス繊維「ライクラ(LYCRA)」、吸汗速乾繊維「クールマックス(COOLMAX)」などの事業買収を完了したと発表した。買収額は非公表だが、数千億円に上ると見られる。買収に伴い、「ライクラ」などの事業は新設のザ・ライクラ・カンパニー(The LYCRA Company)が運営する。なお日本では「ライクラ」は、繊維大手の東レとの合弁会社オペロンテックスが日本に製造拠点を持ち展開している。
ザ・ライクラ・カンパニーは「ライクラ」「クールマックス」の他、ストレッチ繊維「T-400」、高機能中綿素材「サーモライト(THERMOLITE)」、スパンデックスの汎用ライン「エラスパン(ELASPAN)」、ナイロン繊維「タクテル(TACTEL)」、コットン調ナイロン繊維「サプレックス(SUPPLEX)」、ポリウレタン原料「テラテイン(TERATHANE)」の製造設備及び知的財産を獲得。世界に4カ所の研究開発施設、8つの生産拠点、14カ国に17カ所のオフィスを持つことになる。従業員数は3000人になる。
山東如意グループはウール紡織の山東如意科技集団を中核に、日本のアパレル大手レナウン、フランスのナショナルブランド「サンドロ(SANDRO)」「マージュ(MAJE)」を展開するSMCP、スイスのレザーブランド「バリー(BALLY)」、イギリスの「アクアスキュータム(AQUASCUTUM)」を傘下に抱えている。17年11月には香港の繊維商社ファングループ(FUNG GROUP)傘下で、「ギーブス&ホークス(GIEVES & HAWKES)」「チェルッティ 1881(CERRUTI 1881)」「ダーバン(D'URBAN)」を展開する香港証券取引所上場企業のメンズアパレル大手トリニティ・リミテッド(TRINITY LIMITED)を、22億2000万香港ドル(約310億円)で51.38%の株式を取得し、子会社化していた。山東如意グループの邱亜夫(Qiu Yafu、チウ・ヤーフ)董事長は「ライクラ・カンパニーを獲得したことでワクワクしている。『ライクラ』ブランドは、われわれの繊維・アパレルのバーティカルな事業モデルを完璧に補完し、世界クラスに押し上げるはずだ」とコメントを発表した。
インビスタは、米国最大の非上場企業の一つコーク・インダストリー(KOCH INDUSTRIES)の傘下で、2004年に化学大手のデュポンから繊維部門を44億ドル(約4796億円)で買収していた。インビスタは強力ナイロン繊維「コーデュラ(CORDURA)」、カーペット素材「アントロン(ANTRON)」は、引き続き所有する。