2017年に自身の名を冠した「ヘロン・プレストン(HERON PRESTON)」を立ち上げる前から、ナイキ(NIKE)のグローバルデジタルプロデューサーやカニエ・ウェスト(Kanye West)のクリエイティブ・コンサルタントを務め、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)と共にアート&DJ集団ビーントリル(BEEN TRILL)を結成するなど、ヘロン・プレストンはストリートシーンでは知る人ぞ知る人物として活躍してきた。そんな彼がこのほど、「カーハートWIP(CARHARTT WIP)」とのコラボコレクションを発売した。裏方として手腕を発揮してきた彼らしく、着想源としたのはアートハンドラーと呼ばれる美術作品の搬送業者たち。コラボコレクションの発売に合わせて来日したヘロンに話を聞いた。
WWD:コラボに至った「カーハート」との関係は?
ヘロン:2004年にニューヨークに引っ越してから、ずっと大好きなブランドなんだ。「カーハート」は、スケートやヒップホップなどのストリートカルチャーに浸透している数少ないブランドの1つ。憧れのブランドで、1人のファンなんだ。だからオファーが来たときは素直にうれしかったし、「ヘロン・プレストン」はワークウエアもコンセプトの1つにしているからコラボはスムーズに進んだよ。
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WWD:コレクションのテーマは?
ヘロン:“ラグジュアリーウエアとワークウエアの交差点”をイメージし、アートハンドラーや彼らの職場みたいな世界観を題材にしたんだ。彼らは日陰の存在で無骨なワークウエアを着ているけど、運んでいるのはとても価値あるものだし、彼らがいなければアートの世界は成り立たない。そこにハイ&ローの交差点を感じた。ワークウエアの王様である「カーハート」に、スワロフスキー(SWAROVSKI)のクリスタルをあしらうことで表現しているよ。ビジュアルに写っている人たちは皆、アートハンドラーをはじめ実際に美術館などで働く人たちで、実際に作業している最中に撮影した。「アートハンドラー」(@arthandlermag)というインスタグラムのアカウントに出てくる人たちをキャスティングしたんだ。
WWD:今回のコラボからも「ヘロン・プレストン」同様のDIY的要素を感じるが、アイデアはどこから?
ヘロン:実際に手を動かして学ぶことが原点だね。手を動かすっていうのは、見るだけではわからない過程を学ぶこと。今こうやって成功しているのも、手を動かして学んできたからこそなんだ。
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WWD:発売にあたり、ニューヨークのアーティストデュオ、チェン・チェン(Chen Chen)&カイ・ウィリアムス(Kai Williams)を招き、廃材を使ってオブジェクトを作るワークショップを開いたが。
ヘロン:2年前くらいに彼らをインスタで発見しフォローしたんだけど、廃材を再利用して生み出すアートがすごくクールでね、いつかコラボしたいとずっと思っていたんだ。「カーハート」とのコラボが決まった時に、サステイナビリティーと絡めたいと思っていたから声をかけたんだ。