大手SPA、セレクトショップ、専門店の2019年1月の売上高(既存店ベース)は、各社明暗が分かれた。好業績が続くユナイテッドアローズは、暖冬で冬物の消費がずれ込んだことでセールが好調。一方、実需型のブランドは、引き続き気温変動に悩まされている。福袋の廃止や、過度な値引きの抑制を打ち出し、セールに対する取り組み方を変化させている企業もある。
ユナイテッドアローズは、既存店とECの合計売上高が前年同月比10.2%増と2ケタ増だった。「暖冬でアウターやニットの販売が後ろ倒しになったことで、月半ばの3連休以降、セール商品が本格稼働した」(広報担当者)という。昨年1月は、厳冬によってセール時期に商品在庫を欠き、一昨年同月に対し3.0%減と落としていたとはいえ、それを差し引いても快調さが目立つ。
ユニクロの国内既存店とECの合計売上高は、同1.0%減とやや割り込んだ。「1月上旬は寒い日も多く、セールも含めて冬物の売り上げが好調だった」(広報担当者)が、後半になるにつれ「気温が上下して定まらず、勢いが落ちた」。18年8月から19年1月までの累計では前年同期比1.3%減。例年、春夏に比べて秋冬の売り上げ比率が大きい同社にとっては、やや厳しい数字ともいえる。春物に目を移すと、ウィメンズのベイカーパンツやサーキュラースカート、ウィメンズ、メンズのコットン・カシミヤのVネックカーディガンなどが動き出している。
しまむらの主力「ファッションセンターしまむら」の既存店売り上げは、前年同月比0.1%減と微減。実需型ブランドとして暖冬に苦しめられてきた面は大きいが、気温低下に伴って冬物が動きだしたという。
アダストリアは、19年から福袋の販売を一切やめたことが主因となり、1月の既存店売り上げが同6.0%減、既存店客数は同7.3%減。値引き抑制に舵を切っていることから、「セール商戦にも勢いはなかった」(広報担当者)が、その分、既存店客単価は同1.5%増と微増。基幹ブランドの「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」を例にとると、「福袋廃止の影響を除けばそこまで悪い結果ではない」という。18年3月から19年1月までの累計売り上げは前年同期比1.2%減。
「無印良品」の良品計画は、価格訴求で打ち出したリビング家具類の売り上げがプラスに転じた効果などもあり、直営既存店売り上げが前年同月比3.6%増だった。衣服・雑貨カテゴリーに絞ると同1.9%増。ただし、「計画予算に対しては未達」(広報担当者)で、暖冬傾向で高価格帯のアウターの売れ行きが鈍かったのがその理由だ。セール自体の感触が悪かったわけではなく、「ニットやフランネルシャツなどが動いた」という。