フランスの老舗百貨店ギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE、以下ラファイエット)は3月28日、パリのシャンゼリゼ通りに新店をオープンする。
1930年代に建てられたアメリカ系銀行を3年かけてリノベーションした空間は、シリコンバレーの近未来的なグーグル(GOOGLE)本社で知られるビャルケ・インゲルス・グループ(BJARKE INGELS GROUP)が手掛ける。総面積が6500平方メートルを超える店舗規模は、アップル(Apple)や「ナイキ(NIKE)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「アディダス(ADIDAS)」といった同通りのブランド旗艦店の中でも最大だ。
燃料税値上げに端を発したイエローベストデモの現場となっているシャンゼリゼ通りだが、EC時代の到来により、より厳選した地域に焦点を当てるようになったリテーラーからの注目を集め、不動産価格が急上昇している。
ラファイエットは数十年前にもシャンゼリゼ通りに店舗を構える計画はあったが、1929年の大恐慌で白紙に戻ったという経緯があり、この世界有数のストリートに確固たる足場を築くことはオーナーであるハウズ(Houze)家の悲願を達成することにもなる。
店舗のコンセプトをナディア・ドゥイブ(Nadia Dhouib)=ストアマネジャーに全権委任したニコラス・ハウズ(Nicolas Houze)=ギャラリー・ラファイエット最高経営責任者は6月のインタビューで「われわれのアイデアは百貨店というよりもコンセプトストアに近い、なぜならオスマン通り店のように大規模なショップ・イン・ショップを入れるのは不可能な店舗サイズだからだ。新たなブランドやトレンドを発掘し、既存のラファイエット店舗に良いハロー効果を生み出すようなラボのような場所になればと考えている。しかし一方でオスマン通り店を補完する存在になればとも思う。両店舗は競合するものではなく、2つの場所で全く違うタイプのカスタマーを迎えるだろう、だからこそ革新的でなければならない。それが通常リテーラーとは仕事をしないビャルケ・インゲルス・グループにデザインを託した理由だ。大きい百貨店は似ていることが多い。これは新たな物語を紡ぐチャンスだ」と語っていた。
ラファイエットは伝統的な百貨店のモデルを積極的に再構築し、芸術財団のラファイエット・ アンティシパシオン(LAFAYETTE ANTICIPATIONS)の設立やイタリア発の総合フードマーケットのイータリー(EATALY)のフランス初導入、ベー・アッシュ・ベー百貨店(BHV)近隣の再開発などに力を入れている。同時にオンラインプラットフォームの買収や国外への進出、地方店の売却も進めている。
大根田杏(Anzu Oneda):1992年東京生まれ。横浜国立大学在学中にスウェーデンへ1年交換留学、その後「WWD ジャパン」でインターンを経験し、ファッション系PR会社に入社。編集&PRコミュニケーションとして日本企業の海外PR戦略立案や編集・制作、海外ブランドの日本進出サポート、メディア事業の立ち上げ・取材・執筆などを担当。現在はフリーランスでファッション・ビューティ・ライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を行う。