1月19日〜21日に開催された「パリ国際ランジェリー展(SALON INTERNATIONAL DE LA LINGERIE)」で注目されたのが、ランジェリーブランド「オーバドゥ(AUBADE)」と、25周年を迎えたオランダのファッションブランド「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR & ROLF 以下、V&R)」とのスペシャルコラボレーションだ。「オーバドゥ」は例年同様、フランスを代表するブランドらしく会場入り口前の一等地にスタンドを構え、エントランス横に同コレクションをイメージビジュアルと共に展示して会場を行き交う人々の視線を釘付けにした。
リボンをモチーフに 9アイテムを発表
「オーバドゥ」のスタンド内では、モデルがコラボ商品を披露
メンズボクサーも3柄展開
「オーバドゥ」スタンド内のスタッフはコラボアイテムのトップスを着用
「オーバドゥ」の2019-20年秋冬コレクションとして発表されたこのコラボは、両ブランドにとって象徴的なリボン(BOW)をフィーチャーしたことから“ザ・ボウ・コレクション”と名付けられた。アイテムはブラジャー5型、ショーツ3型、トップス1型の計9点で、色は黒とピンクの2色。チュール全面にレーザーカットしたコットンサテンのリボンを縫い付け、そのリボンの隙間からうっすらと肌が透ける様子は、モードかつセクシーで、両ブランドの世界観を見事に融合している。
ブランドディレクターが語る コラボ誕生秘話
同展で「オーバドゥ」を率いる、マルティナ・ブラウン(Martina Brown)=オーバドゥ副社長に、このコラボが生まれた経緯について話を聞くことができた。
WWD :今回のコラボのきっかけは?
マルティナ・ブラウン副社長(以下、ブラウン):革新的なことをやりたいという想いが、このコラボの第一歩。そのパートナーとなった「V&R」は非常にアーティスティックで前衛的あり、もちろんフランスでもよく知られた存在。「オーバドゥ」と「V&R」には‟細部にまでこだわった物づくり“という共通点があり、彼らと新しいカプセルコレクションを作りたいと考えた。このコラボが決定したとき、「V&R」がランジェリーに何をもたらしてくれるのか、とても期待が高まりました。
WWD:このコラボは、いつからどのようなプロセスで進行したのか?
ブラウン:2017年4月から、このプロジェクトはスタートした。25年にわたる「V&R」の歴史に欠かせないリボンモチーフが、今回のコラボレーションにおいて重要なポイントとなっている。そのリボンモチーフを「V&R」と共にデザインすることから始まった。色は黒とピンクにし、ラベル、タグ、パッケージに使用するロゴを制作。ブラジャーやショーツの具体的なフォルムを「オーバドゥ」が作って「V&R」に提案し、パリとアムステルダムを行き来しながら双方で細部を詰めていった。完成してからデザイナーのヴィクターとロルフも立ち合ってイメージビュアルを撮影。2人は非常にクリエイティブで、私達は今までにない新しいアイデアを得ることができた。
ハーフカップ、プランジカップ、トライアングル、ラージサイズカップとブラジャーのバリエーションも豊富
ハーフカップ、プランジカップ、トライアングル、ラージサイズカップとブラジャーのバリエーションも豊富
ハーフカップ、プランジカップ、トライアングル、ラージサイズカップとブラジャーのバリエーションも豊富
WWD:印象的なイメージビジュアルだが?
ブラウン:このビジュアルは、2人と親交がありブランドのミューズでもあった、オランダ人フォトグラファーのヴィヴィアン・サッセン(Viviane Sassen)が撮影した。あえて、モデルの顔を目立たせないビジュアルになっているのは、「オーバドゥ」のキャンペーンビジュアルへの「V&R」からのオマージュだ。
WWD:今回のコラボに対する反応は?
ブラウン:「オーバドゥ」の象徴であるモノクロのキャンペーンと対照的な、カラフルな色使いのキャンペーンという点で話題になっている。
WWD:デザイナーとのコラボは2016年秋冬の「クリスチャン ラクロワ(Christian Lacroix)」に次いで2度目だが、その違いは?
ブラウン:「クリスチャン ラクロワ」は非常にフランス的でフェミニン。「V&R」はインターナショナルでモダンと2つのブランドの特徴は全く異なる。
WWD:今後、ファッションデザイナーに限らず、コラボの予定は?
ブラウン:まだ話せないが、楽しみにしていてほしい。「オーバドゥ」は常に人々を驚かせるような仕掛けをしていく。
川原好恵(かわはらよしえ):ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルスの分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身