ウィメンズブランド「ウエムロムネノリ(UEMULO MUNENOLI)」を18年春夏で休止した上榁むねのりが、新たにウィメンズの「ムネ(MUNE)」を立ち上げた。2019-20年秋冬から販売する。上榁は前ブランド休止後、イタリア・ミラノに移住し、現在も拠点はミラノだ。新ブランドは全てイタリアの素材を使い、イタリアの工場で縫製している。パリ・ファッション・ウイーク中に展示会を行い、日本だけでなく海外の卸先開拓も目指す。
前ブランドでは、得意とするシャツを中心に、クリーンでモダンなムードのアイテムをそろえていた。新ブランドでもシャツは核の一つであり、クリーンでモダンな作風も変わらない。ただ、挑戦的にファッションを楽しむ感覚がより濃くなった。「日本でブランドをやっていると、どうしても保守的になる。MD構成的にこうした方がいいといった考えが働いてしまう」と上榁。拠点を移し、スタート時からパリで展示会をすると決めていたことから、シルエットの量感などを思い切ってデザインしたという。
2重織りのコットンツイルを使って、シルエットに張りを出したコートドレスなどが象徴的な商品だ。シャツはドローストリングやダーツで遊びを効かせたデザインが中心。価格はシャツで4万~5万円台、ドレス5万~8万円、コート11万円など。
上榁は02年にミラノのヨーロッパ・デザイン学院ファッションコースを首席で卒業。その後、「コスチューム ナショナル(COSTUME NATIONAL)」などを経てラフ・シモンズ(Raf Simmons)時代の「ジル・サンダー(JIL SANDER)」で経験を積んだ。日本には11年に帰国し、そのタイミングで前ブランドを開始。前ブランドを休止し、ミラノに再び戻ることを決めたのは、現地ブランドとの契約の都合からという。
こうした経歴から、ミラノには知人友人が多数いる。新ブランドで取り引きしている素材メーカーや工場などは、そうしたネットワークの中から探したという。前ブランドは最終シーズンの18年春夏時点で、「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」など約10社に卸販売していた。