独自の発展を遂げたK-POPシーンは、韓国のみならず世界規模で一過性のブームから定着のフェーズに入っていると言ってよいだろう。BTS(防弾少年団)は全米1位を獲得し、BLACKPINKは今年の「コーチェラ(Coachella)」への出演が決定。EXOはファッション業界から引っ張りだこで、他にもTWICE、iKON、SEVENTEEN、DPR、HYUKOHなど、人気アーティストを挙げるときりがない。しかしその中でもソロで活動し、メロウなサウンドと優しく色気のある歌声で注目を集めるのが、R&BシンガーのDEANだ。
ロサンゼルスを拠点とするDEANは、現在26歳。アーティストとして活動する前はDeanfluenza名義で2013年からプロデューサーとして活躍しており、EXOなどに楽曲を提供し、K-POPシーンを陰で支えてきた。そのかたわら、15年にアーティストとしての活動を本格化させると、わずか3年でアンダーソン・パーク(Anderson .Paak)やジ・インターネット(The Internet)のシド(Syd)といったビッグネームをはじめ、ダニエル・シーザー(Daniel Caesar)ら新鋭とも楽曲を発表。プロデューサーとしてだけでなくシンガーとしても、アメリカ・韓国内外でブレイクを果たした。
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12月、「アーバンリサーチ(URBAN RESEARCH)」がサポートする音楽イベント「P.O.W.E.R. FESTIVAL 2018」の出演のために来日したR&Bシーンの新星DEANに、音楽のことからファッションについてまで話を聞いた。
WWD:名前の由来はジェームズ・ディーン(James Dean)だそうですが、理由は?
DEAN:母親がとにかく好きでね(笑)。その影響もあって、僕も彼のような反骨精神や人生観を持つアーティストとして歩んでいきたいと思って名前を借りたんだ。
WWD:アーティストを志したきっかけは?
DEAN:小さい頃から絵を描いたり文章を書いたりするのが好きだったんだけど、その中の1つとして自然と音楽に手をつけるようになった。音楽だけはずっと飽きなくて、そのまま職業になった感じさ。
WWD:それでは影響を受けたアーティストは?
DEAN:数え切れないほどのアーティストから影響を受けているけど、あえて1人挙げるとするならば、やっぱりカニエ・ウェスト(Kanye West)だね。僕が世に出した音楽はまだ1枚のEP(16年発表の「130 Mood:TRBL」)しかないからカニエの影響が伝わりにくいかもしれないけど、今作っているアルバムにはかなりそれが感じられるはずさ。
2016年発表にした1stEP「130 Mood:TRBL」のプレビュー
WWD:インスピレーションを受けるものは?
DEAN:写真や映画だったり多くの芸術作品からかな。最近で言えば、よく一緒に活動しているユー・ウィル・ノー(you.will.knovv)ってグループとの会話からが多いよ。
WWD:ユー・ウィル・ノーとはどういったグループですか?
DEAN:簡単に言えば、姿をほとんど見せない秘密組織かな(笑)。年齢はバラバラなんだけど、似通った視点を持った人たちが集まっていて、フォトグラファーもいればデザイナーもミュージシャンもいたり、いろいろなアーティストが集まっている。同じ視点を持った仲間が結成した組織さ。
WWD:なぜ自国ではなく、アメリカでデビューを決めたんですか?
DEAN:すごく単純な理由で、アメリカで作曲家として活動していたから。その時からいつかはデビューしたいって思ってたんだけど、ある時自分のために作ったデモを周りの業界関係者に聴いてもらったらすごくいい評価を受けてね。だからアメリカでのデビューを決めたんだ。
韓国を代表するラッパーPaloaltoの「Fancy」に同じくラッパーのSway Dと共に参加
WWD:R&Bシンガーにカテゴライズされながらも、ヒップホップの要素を取り込んでいたりと、新しいR&Bのサウンドという印象を受けます。
DEAN:さっきカニエの名前を挙げたからわかるかもしれないけど、キャリア自体をスタートさせた16歳の時はラッパーだったんだ。R&Bとヒップホップはジャンルは違えど兄弟のような関係で、すごく近いジャンル。両者をうまく混ぜ合わせた結果、新しいR&Bのサウンドに聞こえるのかもしれない。でも最近は音楽をジャンルでカテゴライズすることに意味を見出していないんだ。
アンダーソン・パークとの「Put My Hands On You」
WWD:おっしゃるようにジャンルに捉われず多くのアーティストとコラボしていますが、相手はどう決めているんでしょうか?また、活動初期にアンダーソン・パークとコラボしていますが、そのきっかけを教えてください。
DEAN:アンダーソン・パークは、ドクター・ドレー(Dr. Dre)とコラボする前からたまたま共通の友人を介して曲を聴いていて知り合いだったんだ(アンダーソン・パークはドクター・ドレーの16年ぶりのアルバムで6曲に参加し一躍有名となった)。「面白いことをやろう!」って曲を作ったから、コラボは自然だったね。相手を選ぶときは彼のようなケースもあれば、違うときもある。
シドとの「love」
17年にリリースしたシドとの「love」は、僕が作曲したイメージにしっくりくるのがシドだったから声を掛けた。最近は僕が表現したいジャンルの中からイメージや方向性が合うアーティストとコラボしているよ。ただ、やっぱり”ファンであること”は重要かな。連絡はインスタで直接DMを送るし、突然DMが来ることもある。インスタはコラボする上で重要なツールの1つだね。