ファッション

パリメンズのバックステージでイケメンをハント! 多種多様なイケメンをブランド別に独断と偏見で紹介

 パリ・メンズ・ファッション・ウイークの楽しみの一つといえば、街を歩けばイケメンに出くわすこと!世界中からモデルがキャスティングとショーのために小さなパリの街に集結するため、イケメンとの遭遇率はかなり高めです。ただしイケメンといっても種類はさまざま。日本人男性だけでも、塩顔、醤油顔、雰囲気イケメンなどたくさん区分されるのですから、人種も世代も異なるパリのイケメンとなれば、その種類も一気に増えます。ショーに行けば普段は洋服だけを真面目に見ている私ですが(?)、今回はバックステージへと足を踏み入れ、イケメンハントを敢行しました!読者のみなさまとコレクションのさまざま楽しみ方や、リアルな現場の様子を共有したい思いだけで、個人的な目的ではない(つもり)ですよ(笑)

 今回はブランド別に、異なる種類のイケメンを独断と偏見でご紹介します。私の趣味に偏らないよう、公平性をもってセレクトしましたが……。どうぞみなさんのお気に入りイケメンが見つかりますように!

BERLUTI / 世代も人種も幅広いイケメンの多様性

 人種もさまざまに、10~50代と幅広い世代のモデルを起用した「ベルルッティ」。私の感覚ではショーに出る男性モデルの平均年齢は18~22歳で、どんな洋服でも似合うあっさり系美男子モデルの需要が高いように感じます。マーセル、ミクロス、ローマがその代表格。そんな中で、ひと際オーラを放っていたのが50代のベテランモデル、ジョン。見た目の通り、何事にも動じることなく物静かにバックステージで控えており、年を重ねた大人の男の色気が内側から溢れ出るよう。同じく50代のインゴは、本業はモデルではなくコンセプトストアのバイヤーだというから驚きました。「ベルルッティ」のテーラリングを着用して、ホテルのロビーでウィスキーを飲みながら女性を待っていそうな、渋い大人のイケメン男性です。目移りしっぱなしですが、私が最も心を奪われたのはベルギー出身20歳のアントワーヌです。「ベルルッティ」2019年サマー・コレクションのキャンペーンモデルとしても起用された彼は、今季「ディオール(DIOR)」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」などのランウエイも歩いた急成長中のモデル。誰にでも人懐っこく話しかけ、カメラを向けるとピースサインを向ける、愛想の良さと無邪気な笑顔に思わずうっとり。

UNDERCOVER / 新ジャンル”儚い系”イケメン

 力強さと独創性に加え、どこか儚さを感じさせる「アンダーカバー」のショー。SF映画「時計じかけのオレンジ」をテーマに掲げた今季のコレクションのモデルは、映画の中から飛び出してきたかのようなメルヘンっぽさがありました。平均年齢は16~20歳と低めで、男性というより”男子”モデルが大半でした。外見や名前の傾向から推測するに、アイリッシュ系の比率が多かったように思います。有名人でいうと、エディ・レッドメイン(Eddie Redmayne)のような男性が好みの方にはたまらないんじゃないでしょうか?若くてショーの場数を踏んでいないモデルも多いためか、バックステージでは私語も少なく黙々と準備するイケメンたち。なかでもジャスは、メイクアップが中性的な魅力に拍車をかけ、独特の雰囲気をまとっていました。アラン、イリア、ダニエルも抱きつくと泡になって消えてしまいそうな、”儚い系”イケメンオーラを感じます。華奢で長身なマルコは、”儚い系”でありながらもバンドマンっぽいクールな面も持ち合わせ、私服だとガラッと印象が変わりそうだなと、妄想を掻き立てられました!

JACQUEMUS / 肉体系坊主イケメン

 「坊主男性ってこんなにカッコよかったっけ?」と新たな魅力に気付かされたのが「ジャックムス」がそろえたイケメンたち。目鼻立ちがくっきりした、筋肉質な肉体系のイケメンたちの坊主頭は潔くてフェモロンがムンムン!ふとした瞬間に見える腕の筋肉の筋や、厚い胸板にセクシーさを感じる女性は少なくないはず。昨年12月にニューヨークで開催された「シャネル(CHANEL)」2018-19年メティエダール・コレクションのショーに登場してから、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「グッチ(GUCCI)」などメゾンブランドのラブコールが絶えないアルトンは、ダンサーとして鍛え抜かれた筋肉の持ち主。「アルマーニ(ARMANI)」がお気に入りのイゴルは、ブラジル出身とあってサッカーをして育ったのだとか。モロッコ出身のジャードは、柔道と格闘技が趣味。18歳の時にフェイスブックでニューヨークのモデル事務所にスカウトされたことがきっかけで、3年経った今ではファッションやスポーツウエアのモデルとして大活躍中。南アフリカ出身のレイヤンと韓国出身のジュンは、筋肉質で強そうな見た目とは裏腹にシャイな様子で、ギャップが可愛らしかったです。個人的にはお顔もルックも、サイラスがお気に入りでした。

JW ANDERSON / シャイで控えめなロシア系イケメン

 「ジェイ ダブリュー アンダーソン」で起用されるモデルは、クリエイティブ・ディレクターのジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)と同じ系統の、シャイで控えめなモデルが多いなと毎シーズン感じていました。フェミニンさのあるどこか中性的な顔立ちは、確かに「ジェイ ダブリュー アンダーソン」の洋服のイメージにもぴったり合います。190cm近い長身でかなりスキニーなジョージは、パンキッシュな雰囲気のイケメン。透き通るように美しいヘーゼル色の瞳の、力強い目力が印象的です。ロシア出身のイリヤは、ヘッドアクセサリーを外すと肩までウエーブヘアがあり、お人形のような可愛さを持つイケメン。アニメや日本文化に詳しくかなりの親日家のようで、待ち時間には会話が弾みました。旧ソ連の小さな国、ラトビア出身のニックスは、私が取材した中で最年少の16歳!普段は学校でバスケットボールばかりして過ごしているという彼は、バイト感覚でモデルの仕事をしているそう。スカウトでモデル事務所へ入るとすぐに、「ロエベ(LOEWE)」のキャンペーンに抜てきされるなど、これからの活躍がかなり期待できる存在です!

ANN DEMEULEMEESTER / 中性的な“パイレーツ系”イケメン

 「アン ドゥムルメステール」に集結したイケメンたちの第一印象は華奢で蒼白く、ちょっと不健康そう(失礼な言い方でごめんなさい)。しかしショー直前にドレスアップをすると印象はがらっと変わり、”都会に暮らす海賊”のような雰囲気に。映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」出演時のジョニー・デップ(Johnny Depp)やオーランド・ブルーム(Orlando Bloom)のような、野蛮で危険な香りのする、“パイレーツ系”イケメンとでも言いましょうか。洋服から男らしい雰囲気は感じられるのですが、顔だけを見ると女性と言われても納得しそうな、かなり中性的なイケメンが多いように思います。特にアンガス、ジョナス、トミーは少し手を加えるだけでしっかり美人に女装できそうな美しい顔立ち。みんなイケメンで、骨格の良さと反抗的な目つきに男らしさを感じるものの、細身な体と蒼白い肌を見ると「ちゃんと食べて」とお節介なおばさんのようなことを言いたくなってしまいそうに……。このモデル一段とカワイイ!と思ったら、ソフィーとテッサは女性でした。

KENZO / やっぱりアジア系イケメンが落ち着く?

 多様な人種を取りそろえた「ケンゾー」は、イケメンハントの取材をした中で最もアジア系モデルが多かったように思います。日本人の方は特に「彫りの深いイケメンよりも、やっぱりアジア系が良い」という人も少なくないかもしれませんね。中国出身のユイフォン、韓国出身のハンとニーはバックステージで仲良さげに話し込んでいたアジア系イケメン3人組。数少ないインド系モデルのトゥヒルは、21歳ながらインドではトップ5に入るファッションモデルで、今季は「ルイ・ヴィトン」のショーにも起用され、今後の世界的な活躍が楽しみなイケメン。スペイン出身のフェルナンド、マレーシア出身のサンセイ、ドミニカ共和国出身のステファンは20歳手前であどけなさの残る印象ですが、キャットウォークでは男らしいウォーキングを見せていました。スペイン出身のパブロは、いかにもモデルらしい正統派イケメン!個人的に注目したは、ラトビア出身の18歳エデュアード。今季は「フェンディ(FENDI)」「オフ ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」のショー、さらに「ルイ・ヴィトン」のキャンペーンにも起用される活躍ぶり。「ジェイ ダブリュー アンダーソン」で紹介したニックス然り、ラトビア男性はイケメン率が高そうというのは新たな発見でした。これは一度、ラトビアでもイケメンハントを敢行してみたい……!

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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