イタリアのレザーグッズメーカーのシロエ(SILOE)は、自社のウェブサイトのみで販売するD2C(Direct to Consumer)型のウィメンズバッグブランド「オブジェクト パルティコラーレ(OBJECT PARTICOLARE)」を発表した。シロエはイタリア北部のヴィチェンツァに拠点があり、ラグジュアリーブランドの製品も多数生産している。
同ブランドにはシロエを所有しているファルコン(Falcon)家が出資し、エリック・ジョセルゾン(Eric Joselzon)=シロエCEOに加えて、「ギャップ(GAP)」や「J.クルー(J.CREW)」「トミーヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」のデザイン部門を経て、サンフランシスコ発のオンラインSPA企業のエバーレーン(EVERLANE)でデザイン部門のトップを務めたペトラ・ランゲロヴァ(Petra Langerova)が共同創設者として名を連ねた。
ランゲロヴァ共同創設者は「エリックにはラグジュアリーと金融、私にはグローバルブランドでの経験があり、これまでのスタンダードなイタリアブランドとは大きく差別化することができるのではないかと考えている。イタリアには家族経営のビジネスが多く存在しており、それらをアップデートまたは改革することはとても難しい」と語った。「オブジェクト パルティコラーレ」は流通コストをカットすることで、飽和状態のレザーグッズ市場においてニーズに合致した、前衛的かつモダンな製品を手ごろな価格で提供することを目指しているという。
昨年11月から販売している“ビッティコレクション(VUITTI COLLECTION)”では取り外し可能なラウンド型のクラッチがついた、軽量かつミニマルなトートバッグや小型のバケットバッグをラインアップし、価格は395〜690ユーロ(約4万9000〜8万6000円)。先日パリで行われた展示会では車の部品メーカーと共同で1年がかりで開発した、縫い目のないアシンメトリーデザインのハンドバッグを発表し、価格は950ユーロ(約11万8000円)で今年3月に140個のみ発売する予定だ。「これは伝統的なレザーの技術とデジタル領域を結び付けたものだ。パターンを巧みに操り、これまでにないものを創り出す日本のデザイナーのように、デザインと技術を別々に捉えるのではなく、テクニカルな面もダイレクトに融合させていきたい」とランゲロヴァ共同創設者はコメントした。またファストファッションと多様なマーケティング手法に親しんできた世代として“レス・イズ・モア(少ないことは豊かなこと)”の視点を取り入れており、現在開発中の新たなラインではジェンダーニュートラルまたはユニセックスなデザインの導入も考えていると明かした。
大根田杏(Anzu Oneda):1992年東京生まれ。横浜国立大学在学中にスウェーデンへ1年交換留学、その後「WWD ジャパン」でインターンを経験し、ファッション系PR会社に入社。編集&PRコミュニケーションとして日本企業の海外PR戦略立案や編集・制作、海外ブランドの日本進出サポート、メディア事業の立ち上げ・取材・執筆などを担当。現在はフリーランスでファッション・ビューティ・ライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を行う。