メンズニット専業メーカーのジム(東京、八木原保・社長)は、長年展開してきた8ブランドを社名ブランドの「ジム(GIM)」に2019-20年秋冬から統一する。これまで販路やテイスト別に分けてきたが、主力商品であるセーターのブランディング、他社に先駆けて掲げてきたサステイナブル(持続可能)の企業理念、そして近年欧米市場でのビジネス拡大などを総合的にみて決断した。八木原社長は「一本化することでより強いメッセージを発信する」と話す。
同社は1965年に原宿で創業。当時はたくさんあったメンズニット専業メーカーが90年以降、次々と市場から撤退する中、原料や編み地にこだわったモノ作りと原宿からのトレンド発信力で生き抜いてきた。今でも百貨店の平場やカジュアルショップなどからの支持が高い。近年は伊メンズ見本市「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)」にも出展し、仏プランタン(PRINTEMPS)など欧米の有力店に販路を広げている。
「ジム」ブランドへの一本化後には、ラベルの色分けで7万〜8万円台のカシミヤ100%セーターから数千円の手頃なセーターまで用途別に提案する。
19-20年秋冬物の目玉はモンゴルカシミヤで、セーター全体の3分の1に採用する。モンゴルに設置した検査機関を通じて、トレーサビリティーのしっかした高品質な原毛を大量に仕入れ、日本で編み立てした。カシミヤ100%、無染色、ブレンドの3タイプで構成する。ラムウールと混紡したルームウエアなど、ユニークな商品も企画する。
八木原社長は、ブランド統一を機に自社の強みを強烈にアピールするという。「原毛価格が2割以上高騰する中でも、企業努力によって高品質なニットを(中心価格)1万円後半から3万円台の求めやすい価格で提案する。これからは持ち味がしっかりした会社しか残れない」。