若手デザイナーを育成・輩出し続ける街、ロンドンで、今後大きく羽ばたいていくであろう若手として今最も期待されている一人が、リチャード・クイン(Richard Quinn)だ。同名のブランドを手掛けており、2019-20年秋冬から「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」にコラボレーターとして参加することも決まっている。ロンドン・ファッション・ウイーク最終日に披露した自身のブランドの19-20年秋冬物では、強みであるプリントや、クチュールさながらの刺しゅうを主役にした華やかなドレスを並べた。注目の若手を逃さずチェック!
前シーズンはロンドンフィルハーモニーオーケストラの生演奏にのせてショーを行ったが、19-20年秋冬もピアノと弦楽、生歌の美しい調べがBGM。生花が飾られた壁を背景に、モデルが優雅に歩いてくる。着用しているのは、ビーズの総刺しゅうで千鳥格子や草花柄を描いたコートドレスやセットアップ。気の遠くなるような繊細な手仕事に、思わずクラクラしてしまう。圧倒的にエレガントだが、インナーにラテックスの黒いボディースーツを合わせることで、モダンなエッジをきかせている。
後半は、彼が頭角を現すきっかけとなったプリントの表現が続く。色鮮やかなプリントを、大きく肩の張り出したロングドレスや、裾がバルーン状に広がるミニドレスに載せる。色とりどりのドレスが並ぶフィナーレは圧巻で、まるで夢のよう。ただし、特にプリントドレスはほぼ同様の表現が数シーズン続いており、そろそろ次の一手も見せてほしいところではある。
リチャードはセントマーチンズ美術大学卒。17年のショーデビュー以来、18年春夏に老舗百貨店リバティと協業でカプセルコレクションを作ったり、18-19年秋冬のショーにエリザベス女王が来場したりと、常に話題を振りまいてきた。「モンクレール ジーニアス」でのコラボレーション商品の発表は、ミラノ・ファッション・ウイークの実質的初日である20日に行われる。つまりロンドンでの発表の翌日だ。シグネチャーである鮮やかなプリント柄を生かしたダウンが広がるのか、それ以外の提案があるのか、期待が高まる。