伊藤忠商事は、機能素材で知られる米ライクラ(LYCRA)に約200億円(弊紙推定)を出資した。伊藤忠と資本・業務提携を結ぶ中国繊維大手の山東如意科技集団がライクラを約2000億円(同)で買収しており、伊藤忠はこの買収に参画した。今後は山東如意と共同でライクラの事業拡大に取り組む。
ライクラはスパンデックス繊維「ライクラ」、吸汗速乾繊維「クールマックス(COOLMAX)」、ストレッチ繊維「T-400」、高機能中綿素材「サーモライト(THERMOLITE)」などを製造する。特にスポーツウエアやインナーウエアでは高い世界シェアを誇っている。
伊藤忠と山東如意は11年に資本・業務提携を締結。今回、山東如意がライクラの買収を検討するにあたり、伊藤忠に共同出資の要請があった。伊藤忠は、18年にフィンランドのメッツァ・グループ(METSA GROUP)と環境配慮型セルロースファイバーの工場設立、また古着から再生ポリエステルを作る日本環境設計への出資を発表するなど、競争力のある素材事業に力を入れている。ライクラへの出資もその一環で、世界的に需要が高まる機能素材の分野での存在感を高める考えだ。