ショーを見ていると、「このブランド、勢いがあるな」「今売れているんだろうな」となんとなく感じる時がある。会場の熱気や、実際にそのブランドの商品をどれだけの来場者が身に着けているか、そしてショーの演出からみなぎる自信のようなものがそんな風に感じさせるのだが、今回ミラノでそれを感じたブランドの一つが「マックスマーラ(MAX MARA)」だ。2018-19年秋冬はボアでできた通称“テディベア”コートがヒットし、19-20年秋冬のショー会場では同コートを着用した来場者を何人も見掛けた。また、「これぞ『マックスマーラ』」な上質なキャメルのコートやスーツ姿の来場者も多数詰めかけていた。
ショー会場は、ボッコーニ大学内の非常にモダンな空間。同大学はイタリア屈指のビジネススクールであり、エグゼクティブなキャリア女性というブランドイメージに重なる。前シーズンまでの会場よりも随分と広くなって、そんなところも期待を高めさせる。長い長いランウエイにまず登場したのは、全身をそれぞれ緑、青、黄の3色でまとめた3人のモデル。「どや!」とでも言いだしそうな堂々のウオーキングは、スーパーモデルブームの1990年代を思い出させるほど。着ているのは、つやのあるコートにふわふわのロングカーディガン。どちらも上質さが主張する。
続くのは、今をときめくカイア・ガーバー(Kaia Gerber)。 彼女が着ると“テディベア”コートがいっそうキュートに見えて、同商品の引き続きのヒットは確実と予感させる。その後は王道のキャメルのコーディネートが続き、アニマル柄カーディガンのモデルが再び3人そろって登場。正直コンサバなのだが、演出の直球のメジャー感と素材の質感に思わず圧倒されてしまう。
日本および世界での直近の販売状況は正確には分からないが、少なくとも阪急うめだ本店では大規模なイベントを仕掛けた成果もあり、18年7~12月の同ブランドの売上高は前年同期比15%増だったという。そんな話もあわせて、ブランドの勢いを強く感じたショーだった。