ユナイテッドアローズ(UA)は20日、接客ロールプレイング大会「束矢グランプリ」を東京・新宿の京王プラザホテルで開催した。これまで比較的若手の販売員が活躍する大会だったが、今回10回目を記念し、ベテラン販売員を各事業部から選出。予選を勝ち抜いた9人が最終審査に臨み、ワークトリップ アウトフィッツ グリーンレーベルリラクシング 札幌ポールタウン店の目黒栄さん(34歳)が優勝した。2位にはUA 六本木ヒルズ店の綾部由美さん(40歳)が、3位にはオデット エ オ ディール 名古屋ラシック店の宮田恵さん(35歳)が受賞した。
審査員は竹田光広社長を含め7人が務めた。今回の審査ポイントは「提案」。購買の有無にかかわらず、コーディネートや情報の提案を通し、テーマとする「創造的商品〜またこの人に接客してほしい〜」を競った。
竹田社長は、「こだわるリアルな接客と、削ぎ落とした接客にフォーカスした。もう一つは、買うその瞬間だけのコーディネートではなく、購入の後のアフターコーディネートに重きを置いた」と審査を振り返る。結果、「上位者は僅差だった」という。「賞を獲得した人もそうだったが、接客は来店客の要望、店舗スタッフの生の声を取り入れ、半歩先をゆく不足感に応えられた商品を、自信を持ってお客さまに薦められていた。シーンを想像した上で、着たことのない、出合ったことのないコーディネート提案が、この人からもう一度、接客を受けたいという思いにつながっている」と語った。
優勝した目黒さんは入社11年目。今回の大会は「緊張しなかった」と語り、接客で心がけていることは「商品を通してお客さまがどうなるかを考えています。ここに一番時間を費やしています。生活が豊かになるかどうかを考えないといけないと思います」と語る。
2位の綾部さんは入社18年目。「服は着るために購入するものではなくて、着て何をするのか、どんな気持ちになるのかを想像して接客します。お買い上げいただいた後、その服を着て『ハッピーな体験ができました』と聞けたらうれしいです」。
3位の宮田さんは入社9年目。「買っていただいた後の時間もお客さまとつながっていく。長い時間、お願いしますという気持ちで接客しています」と熱い思いを語った。
10年を迎えた束矢グランプリや、他商業施設などのロールプレイング大会はECが台頭する中で、そのあり方が問われている。竹田社長は、「昔は通勤帰りの18時以降の来店が一番の賑わいをみせていたが今は、20時以降は家に帰ってECサイトを見るなど環境が変わっており、その変化に対応しなければならない。実際の接客のあり方は、今日のお客さまの顔を見て、勇気づけたり、気持ちに寄り添ったり、買うだけじゃないコミュニケーションが大事だ」とした上で、「ロールプレの是非について、グループ会社はやめているところもあり、議論しているところだ。ただ、UAは、仕事に対するモチベーションの向上にもつながるため、他の商業施設のロープレにはないさまざまな要素を加えず行うロープレとして、現場からやってほしいという声が上がっている。当面は続けて行きたい」と語った。