「WWDジャパン」2月25日号は、「百貨店の2018-19年秋冬商戦」特集です。定期購読者特典の別冊として、毎年春夏と秋冬の年2回恒例で行なっている百貨店への商況アンケートをもとに主要百貨店に取材に赴き、本紙特集として商況を深掘りしています。
ところが本号の校了日を2日後に控え最後の追い込みをしているとき、皇帝カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)の訃報が入り、編集部の様相は一変。あれだけの人物の訃報です。編集部はカールの功績、すごさ、彼が残した多くのものを伝えるべく、急きょ巻頭6ページの特集を組みました。
そうなると仕方がないことではありますが、百貨店の秋冬商況の校了作業はひっそりと、黙々と行うことになります。この特集に関わった編集部スタッフは8人。何人かは、併行してカール特集の業務もスタートします。またコレクション取材などの海外出張で“戦線離脱”した者もいます。果たして校了できるのだろうか……。今回、この特集のまとめ役として不安を隠しつつ、編集部スタッフの声を拾い上げ、お尻を叩き、毎週のことではありますが、ギリギリのタイミングでなんとか全てを校了することができました。
特集を読み返すと、引き続き「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「グッチ(GUCCI)」といったラグジュアリーブランドが好調です。暖冬で各社、ダウンなど防寒アウターが苦戦した中、好調ブランドは顧客による先物買いで秋の立ち上がりにダウンが売れました。その他、メンズの人気ブランドは相変わらず発売日に行列ができる盛況ぶり。男性のコラボ熱、一点モノ熱はまだまだ続きそうです。「並んでまで買いたい」というのは女性の専売特許だったはずなのに、いつのまにか男性に取って代わられています(笑)。
その他、引き続きジュエリーや時計など高額品は売れていて、2ケタ成長の百貨店やブランドも存在します。インバウンドと富裕層はまだまだ消費に熱心です。ただ、1月に中国で電子商務法が施行されたことで、インバウンド需要は早くも影響を受けていそう。今後は各社の売り上げにも響きそうで、その対策は急務です。
婦人服や紳士服、バッグやシューズは全体的に厳しい商戦となりました。気候を意識しすぎたビジネスはやめたほうがいいと、あらためて思わされた次第です。その中で、独自性のある施策を行ったところは結果につながっていました。詳しくは特集をご覧ください。
最後に、今回カールの訃報に際しては、表紙も急きょ差し変えました。当初は、百貨店商況に合わせて撮り下ろしたイメージ写真を使う予定でした。コレクションのルックが続いた最近の表紙の中で、専門紙的なオリジナリティーが出せた表紙でしたが、ニュース媒体ゆえ、その時の状況に合わせて中身も外見も変えていくーー。こんな緊張感も味わえた号でした。今回、当初の表紙をトップ画面の画像に使用しています。こちらチェック後、本紙百貨店商況も熟読していただきたいです。