皆さん、こんにちは。昨日、フィレンツェで開かれた世界最大級のメンズウエア見本市ピッティ・イマージネ・ウオモが終了し、ミラノメンズが始まりました。
「ゴーシャ ラブチンスキー」のブルゾンを着て、ショー会場の前で。舞台は、廃屋になったタバコ工場というのも、彼らしいです
ピッティでは、「ゴーシャ ラブチンスキー」のショーが印象的でした。実はこの夏、はじめて「ゴーシャ」の洋服を買ったんです。1週間前、このイベントに備えてロンドンのドーバー ストリート マーケットで買ったブルゾンは、正直野暮ったいシルエットで決してスマートではありませんが、得体のしれない魅力が潜んでいるように思えて仕方ありません。正直、その魅力が何なのかは、まだ感覚的にしか理解できておらず、言葉にするのはとても難しいのですが、「ゴーシャ」の服は、彼に魅了される若年層以外にも何らかの刺激を与えるようです。その証拠に、このブルゾンを着ていた日、「ブルネロ クチネリ」の創業者であるブルネロ・クチネリさんが僕に近づいてきて、「一緒に写真を撮ろう」と言ってくれました。
ブルネロ・クチネリさんと記念写真。スタイルは違えど、ファッションラバーなのは一緒です
で、撮影したのが、この写真(笑)。クチネリさんは、ゴーシャくらいの子どもがいてもおかしくない、同年代の紳士には「ゴーシャ」のショーに出てきたモデル(15、16歳くらいが多かったとか)くらいの孫がいるかも!?という年齢ですが、何かを感じたのではないでしょうか?それとも、僕がただ単に派手だったのかしら(笑)?
「WWDジャパン」は2016-17年秋冬シーズン、「ユース」 というキーワードで若年層に由来するカルチャー発祥のスタイルがトレンドだ!!とプッシュしています。メンズでは「ゴーシャ」は間違いなく、「ユース」というトレンドをけん引するブランドの1つです。だからこそ「ゴーシャ」は今回、ピッティのメインゲストに選ばれ、これまでとは比較にならない規模のショーを発表し、さらには映画、そして写真集まで作りました。けれどお話しした通り、彼、そしてブランド、さらに洋服の魅力は、正直未だ感覚的にしか理解できず、言葉で紡ぐのがすごく難しい……。それは、「ユース」もまたしかりです。そこで今回は思い切って、ゴーシャに体当たりして、「ユース」の魅力を聞いてみよう!そう思い、記者会見の後、彼に突撃し、「『ユース』の魅力って何ですか!?」と、社会科見学に出かけた小学生みたいなレベルの質問を投げかけてみました。
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ショーモデルは、インスタで集めた若者たち。インスタで繋がっていたおかげで、初対面でも会話が盛り上がるそうです
するとゴーシャは、「若い子は、大人よりずっとエモーショナル。そしてオープンマインドで、ナイーブ。彼らの行動や表情は真実を語るんだ。そしてそんな特徴は、世界のどこに住んでいても同じ。だって彼らはインスタで、世界のどこにいてもつながっているからね」と話してくれました。なるほど、「ユース」は世界共通で、ある意味、一番マスなコミュニティなのか!「ゴーシャ」のスタイルは正直、面倒な青臭さをはらんでいて、門戸の狭いスタイルだと思っていましたが、そうではないようです。
そして彼は、「もちろん、彼らからは日々、新しい何か、が生まれている。大人たちが使う古い言葉では表現できない、新しい何かだ」と続けます。このとき、僕は、彼にとっても共感しました。だってそれは、僕が最近、ずっと思い続けてきたことだったからです。
「WWDジャパン」はこれまで、「グッチ」のアレッサンドロ・ミケーレや「ロエベ」のジョナサン・アンダーソンが生み出す、ちょっとした違和感のあるスタイルを「タッキー(英語で、ちょっとダサいの意味)」と表現してきました。「タッキー」は大きなトレンドとなり、僕は最近、この言葉を連発していますが(笑)、一方で、ミケーレやジョナサンのクリエイションを「ちょっとダサい」という感覚的な言葉でしか説明できない自分をもどかしく感じていました。最近では、「彼らのクリエイションは、実は革命的に新しく、僕らはまだ、それを的確に表現する言葉を見つけられていないのではないか?見つけられていないからこそ、『タッキー』という『なんかヘン』を意味する言葉で片付けようとしているのではないか?」と感じていたほどです。
ゴーシャを直撃した後、やはり「タッキー」は今台頭しつつあるスタイルを表現するための、現段階においてベストな言葉の1つに過ぎないと痛感しました。そして、言葉を生業に生きる僕は、「タッキー」よりも良い言葉、仮初(かりそめ)ではない言葉を見つけるか、生み出さねばならない、とも感じました。その言葉は、何でしょう?ミラノ、そしてパリでは、いろんな人に話かけ、その答えのヒントを見つけてみたいと思います。
次ページ:【オマケ】超私的コレクション・ランキング!
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2017年春夏も挑戦!?独断と偏見で決める、超私的コレクション・ランキング
今年も、拝見したランウエイショーとプレゼンテーションを対象に、独断と偏見だけに基づいたコレクション・ランキングづくりに挑戦します!上位に食い込むブランドはいずれも、「ブランドらしい」「新しい」「受け入れるマーケットがありそう、もしくは作ってくれそう」「業界全体を次のステージに押し上げてくれそう」と期待するところ。もちろん、「カワイイ」や「単純にスキ」という直感もランキングに影響します(笑)。さぁ、今季の1位はどこでしょう?
ピッティは、ランウエイショーにおいても大充実の舞台になりました。最高だったのは、「ビズビム」。空間や演出含め、そこにいられた喜びや幸せをかみしめたランウエイショーでした。「ゴーシャ ラブチンスキー」も、このコラムで延々と話してきた通り、珠玉のコレクション。「ラフ・シモンズ」にはもっと新しい何かを期待していましたが、それでも、メンズのドレスコードの再定義や、ファッションとアートの関係性、さらには、「ユース」カルチャーにおける性とそこから生まれる葛藤などを考えさせるものでした。
さぁ、ミラノでは、どんなベスト・コレクションが見られるか?今から、楽しみです。
1.ビズビム
2.ゴーシャ ラブチンスキー
3.クレイグ グリーン
4.シブリング
5.ラフ・シモンズ
6.ケイスリー ヘイフォード
7.マーガレット・ハウエル メンズ
8.ナイジェル・ケーボン
9.マッキントッシュ
10.アイター・スロープ
11.アストリッド アンデルセン
12.トップマン デザイン
13.コモン スウェーデン
14.イー トウツ
15.KTZ
16.MCM × クリストファー レイバーン
17.アギ & サム
18.ベルスタッフ
19.オリバー スペンサー
20.ルー ダルトン
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