ラグジュアリー・ブランドに特化した英国発ネット通販のファーフェッチ(FARFETCH)は、2018年12月期の流通総額(GMV)が前期比50.6%増の14億800万ドル(約1548億円)になった。米国や欧州、アジアの全エリアで増加、全世界で拡大するラグジュアリーECの需要を取り込んだ。19年からは筆頭株主で中国EC第2位のJDドットコム(JD.com)と組み、中国でのラグジュアリーEC事業に加え、自社のシステムを外部提供する事業も本格化する。ジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)創業者兼CEOは「今後10年間でラグジュアリービジネスは5000億ドル(約55兆円)に拡大し、オンラインでは1000億ドル(約11兆円)のポテンシャルがある。われわれはこの分野のユニークかつ最大のシェアを取りに行く」と語った。
通販サイトの価格帯を示す平均購入単価(AOV)は前年の620ドル(6万8200円)とほぼ横ばいの618.6ドル(約6万8046円)を維持する一方、年間購入者数は前期比1.5倍の291万人に拡大した。ECサイトは一般的に購入者数が増加すると購入単価が低下する傾向にあるが、ファーフェッチは購入単価を維持しながら購入者数を増加させており、世界に広がるラグジュアリー人口を獲得していることが伺える。売上高は同1.56倍の6億238万ドル(686億円)だったが、純損失は前期の1億1227万ドル(約123億円)から1億5557万ドル(171億円)に膨らんだ。
また、JDドットコムと新たな提携をスタート。JDが運営する中国のラグジュアリーECサイト「トップライフ(TOPLIFE)」をフェーフェッチの中国事業と統合。「プレミア・ラグジュアリー・ゲートウェイ(PREMIER LUXURY GATEWAY)」と改称し、運営に乗り出す。「ファーフェッチ」で扱っている1000のラグジュアリー・ブランドと小売店を含む3000ブランドの販売をスタートする。「プレミア・ラグジュアリー・ゲートウェイ」はJDの持つ3億人のユーザーに最優先でアクセスするという。