ファッション

ユナイテッドアローズが試着のシェアアプリ 真の狙いは店頭接客のデータ化

 戦略コンサルティング会社のシグマクシス(SIGMAXYZ)とユナイテッドアローズ、博報堂DYメディアパートナーズの3社は試着画像のシェアアプリ「フィットム(fitom)」を開発、3月1日付で同名の合弁会社を設立した。「フィットム」は店頭での客の試着画像とECサイトでの購買を結びつけるアプリで、5月上旬の提供開始を計画する。これまでデータ化が難しかった購入前のニーズ情報を、“試着”で店舗とECに結びつける。店頭接客に情熱を注いできたユナイテッドアローズならではの発想で、新しいファッションビジネスのプラットフォーム化を狙う。

 資本金は1億円で、社長にはシグマクシスの安藤望プリンシパルが就任。出資比率はシグマクシス39%、ユナイテッドアローズ34%、博報堂DYメディアパートナーズ27%。初年度で100万ダウンロード、5年後に1000万ダウンロード、流通額1000億円を目指す。

 「フィットム」は商品のリアルなスタイリング画像を求めるネット通販の顧客と、店頭でのお客の試着画像を結びつけるアプリ。試着画像の提供者にはリクエストの数に応じてインセンティブ(フィットムポイント)が付与される。「フィットム」で閲覧できる商品画像はECサイトと連動し、アプリの提供開始時にはユナイテッドアローズの主力ブランドのほとんどが参加するという。

 アプリの開発に関わり、新会社の執行役員に就任するユナイテッドアローズ経営企画チームの村上悠氏は「ユナイテッドアローズの店頭だけでも年間で1億人の入店があり、800万回の試着がある。一方ネット通販で最大のネックは試着ができないこと。この2つをうまくつなぐことで、新たな購買を喚起できる」と語る。

 同アプリの最大のポイントは、これまで分断されていたECと店頭での接客や試着などの顧客の動態を、データとして蓄積・統合し、将来的な購買や商品開発とつなぐこと。「店頭で販売員がコーディネートを組んでお客が試着したとしても、最終的に通販サイトで購入することも少なくない。また試着というプロセスは、購買する前の検討という一番欲しい情報ともいえる。アプリには接客した販売員の情報を入れられる機能もあり、店頭での接客価値を最大化することにも取り組みたい」という。

 ユナイテッドアローズは他社にも同アプリへの参加を呼びかける考えで、数社が年内の参加を検討しているという。

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