アップルストアのオープン(6月13日)、ONE表参道1階のブティック街の全面リニューアル、ベネトンビルのケリングへの売却、TS青山への「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の出店など、相変わらず表参道、南青山はラグジュアリー・ブランドを中心に出店ラッシュに沸いているが、ここにきてビッグな移転が2件明らかになっている。
まず表参道の「バーバリー(BURBERRY)」のブティックが同じ表参道にある「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」ブティック跡(渋谷区神宮前5-29-2)に移転する。バーバリー・インターナショナルによれば移転オープンは今年11月を予定しているという。現在の「バーバリー」ブティックは2004年に日本看護協会ビルの1階と2階にオープンした。周知のように「バーバリー」は来年6月末をもって、三陽商会とのライセンス契約を終了し、その後はバーバリーの日本法人が輸入・販売を行うことになっている。そうした日本での新しい門出に備えたということでもないだろうが、より青山通りに近く面積も広い好立地物件への移転を決定したようだ。
さらに南青山3丁目のみゆき通り沿いに現在建設中なのが「ミュウミュウ(MIU MIU)」で、すぐそばにある「ミュウミュウ」青山店がこの場所に移転される。その工事標識には、「ヘルツォーク&ド・ムーロン」とある。みゆき通りを挟んですぐ向かいにある「プラダ(PRADA)」青山店のガラスの殿堂を設計したスイスの2人組建築家ユニットの名前だ。
今回の「ミュウミュウ」青山店も同じ建築家に設計を依頼したところをみると、「プラダ」と「ミュウミュウ」のブティックで道を挟んでプラダ・グループの2大ブランドの存在感を際立たせようという狙いが感じられる。が、新しい「ミュウミュウ」ブティックが「プラダ」青山店のような総ガラス張りになるかどうかは不明だ。また完成がいつごろになるかも未定だ。この土地は香港をベースにする不動産会社のヴェロックス・アセット・マネジメント・コープが現在保有している。ちなみにヴェロックスは「プラダ」青山店の土地も現在所有している。
現在の「ミュウミュウ」青山店は1999年にオープンしたが、みゆき通りに面していないちょっと入った場所という点を除けば、何の不都合もないし売り上げが不調という話も聞かない。それなりの固定客がいるわけだし、移転すれば新たに億単位の保証金も必要になる。ほぼ50m程度の今回の移転は常識では考えられない話。が、そうした常識や目先のことではなく、表通りに移って、「プラダ」とのツープラトンで通りを制圧するという50年、100年先を見据えた移転のようだ。その背景には、アベノミクス効果での業績好調や2011年の香港株式市場での上場による経営安定がありそうだ。