YKK・ファスニング事業の2019年3月期の売上高は前期比4.3%増の3378億円、営業利益は同3.1%増の542億円で、増収増益を見込む。ファスナー販売本数は同6.8%増の101億8000万本を予定しており、初めて100億本を突破する。
大谷裕明社長は「100億本を目標に掲げたのは12年度で、当時の販売本数は75億本だった。量的成長を求めようと舵を切り、“よりよいファスナーをより安く”と、初心に戻り、当社が今後成長するうえで何をどう変えるべきかということが本質にあった。納期、売価に対するクライアントの要望に応えるためのモノ作りとコスト削減の努力を行ってきた結果、目標を掲げて6年目に達成できた」と評価する一方、「21年3月期を最終年度にした中期経営計画の最終目標は129億本を目指しており、100億本突破はその過程でしかない」と語る。
好調要因は成長するアジア地域での供給体制の増強、欧米での高付加価値品の販売増に加え、「これまでシェアを取れていなかったジャケット分野が好調だった。コストダウンしたことで主にスポーツ分野で伸長した」と大谷社長は分析する。
20年3月期は、ファスニング サステナビリティ推進室と業務改革プロジェクトを新設する。サステイナビリティーに関しては、社会や顧客の意識の高まりを受け、商品・技術による量的成長と環境対応の両立させることに取り組む。19年中に環境配慮型の植物由来のファスナーの開発を完了する。これは、バイオ原料を使用してカーボンニュートラルを実現し、石油使用量を削減したファスナーだ。また、有害物質を用いず、水や電力、排気量が少ない環境に優しい新メッキを施したジーンズのボタンを発売した。加えて、持続可能な事業体制の構築のため、独自のコンプライアンス基準「YGCC(YKK Global Criteria of Compliance)」を策定した。定期的な評価と改善活動を通じたコンプライアンス体制の維持・強化に取り組む。
業務改革プロジェクトは、世界73カ国・地域の69社におけるファスニング事業の展開を支えるため、事業環境の変化に迅速に対応できるグローバルでの標準業務プロセスの立案・構築をする。
20年3月期の売上高は前年比5%増の3555億円、営業利益は同8%増の584億円、販売本数は同10%増の111億5000万本を計画する。
YKKグループの2019年3月期の連結売上高は前年比3%増の7735億円、営業利益は同1%増の596億円の見通し。