「THREE」によるメンズの総合コスメブランド「ファイブイズム バイ スリー(FIVEISM × THREE以下、ファイブイズム)」はこのほど、「個性を表現する上でビューティと等しい価値を持つ」(RIE OMOTEグローバル・クリエイティブ・ディレクター)と考えるファッションとの融合を狙い、ファッションショーを開催した。当日はRIEグローバル・クリエイティブ・ディレクターたちがメイクを施し、スタイリストが洋服を着せたモデルがランウエイをウォーキング。性別や年齢などの既成概念にとらわれない自己表現を提案する「ファイブイズム」は今回、男性のみならず女性モデルも起用してジェンダー・ニュートラル、男女の性差にとらわれない考え方を提唱した。
人種も、年齢も、性別もさまざまなモデルが登場したが、中でも注目はアレキサンダー・ジェームス(Alexander James)だ。首まで迫るタトゥーがインパクト絶大のジェームスは、BAB¥FA€E JAME$の名前でラッパーとしても活動。加えて以前は兵士で、アフガニスタンでの戦闘経験を持つという異色の存在だ。正直、ビックリする人もいそうな見た目については賛否両論ありそうだが、既成概念にとらわれない自己表現を提唱する「ファイブイズム」にはぴったり。RIEグローバル・クリエイティブ・ディレクターは、「迫力はハンパないが、一方スマートでバランスがよい。ビューティモデルに収まる器ではないところは、『ファイブイズム』にぴったり。リミッターを外し、限界を設けず活躍してほしい」と絶賛し期待を寄せる。
ショーが終わったばかりのジェームスに、どんな経緯でビューティモデルを務めるに至ったのかバックステージで聞いた。
WWD:率直に今、メイクしている自分のことをどう思う?
アレキサンダー・ジェームス(以下、ジェームス):“すっぴん”より心地よい。今日はスキンケアとファンデーションで肌を整えてもらったあと、頬に「ベイビー」と名前を入れてもらい、シャドーを塗った。自分が思い描く姿で人前に立てるから気分がよい。恥ずかしいなんて、ちっとも思わない。
WWD:アフガニスタンにいた頃とは、全然違う仕事だ。
ジェームス:アメリカ陸軍に所属し、兵士としてアフガニスタンで働いていた。マジであのときとは全然違う。でも今の仕事の方がいいね。メイクブランドのモデルの方が、ずっとピースフルだ。誰も傷つけないからね。アフガニスタンにいたときは実際、戦闘に参加したこともある。まさに“クレイジー”な世界だ。振り返ってみれば、やっぱり怖かったよ。今はラッパーとして音楽活動を続けながら、ニューヨークではフォード モデルズ(FORD MODELS)に所属してモデルとしても活動している。そして初めて来た日本ではビューティの仕事。“美しい”キャリアチェンジだね。
WWD:「ファイブイズム」は個性を重んじていて、だからこそジェームスはメインモデルに選ばれている。
ジェームス:「自分とは何者なのか?」を考えて、見出した「個性」を追求するのは大事なことだ。目指す「個性」は人それぞれで、完璧なお手本なんて存在しないから、「個性」を確立するのはメチャクチャ難しいこと。けれど、挑戦しなくちゃ人生ツマらないだろう?
WWD:メイクは、「個性」の確立に役立つ?
ジェームス:少なくとも今、僕はメイクしている自分が気に入っている。「ベイビー」っていう日本語は、このままタトゥーで入れてもいいかなって思っているくらいだ。自分を気に入り、毎日を楽しむのが重要。メイクは「個性」の確立に役立つと思うよ。