岩井良太が手掛ける「オーラリー(AURALEE)」は、ブランド初のプレゼンテーションをパリ・ファッション・ウイーク期間中に開催した。東京都と繊維ファッション産学協議会が主催する「ファッション プライズ オブ トウキョウ(FASHION PRIZE OF TOKYO)」の第2回の受賞者として、2019-20年秋冬コレクションをウィメンズとメンズの合同で披露した。
会場は文化施設のポンピドゥセンターの敷地内にある、彫刻家コンスタンティン・ブランクーシ(Constantin Brancusi)の工房を再現した空間、アトリエ・ブランクーシ。岩井デザイナーは「いい素材でいい作品を生み出すという、真摯なモノ作りの本質を見せたかった」といい、抽象彫刻の巨匠ブランクーシの創作の場を借りて、「オーラリー」の糸からデザインするモノ作りへのこだわりと重ねた。
「ショーのための特別なデザインは入れていない」と岩井デザイナーが話すよう、上品さとリラックス感を併せ持つ“オーラリーらしさ”のあるコレクションだ。こだわりは、ベビーキャメルやカシミヤなどの秋冬の上質素材、コートに用いた茶とブルーのチェックや、グレーブルーなどの絶妙な色使いから感じられる。トレンチコートからステンカラーコート、パッファーベストまでアウターが充実しており、程よくゆったりとしたシルエットが上品でタイムレスだ。
今回はパリコレのウィメンズ・ウイークで発表したが、ブランドは海外では特にメンズにポテンシャルを感じており、次回は6月に開催する2020年春夏パリ・メンズ・ファッション・ウイークで合同ショーの発表を目指している。次の発表まであと3カ月。すでに生産の前倒しに取り掛かっているという。