ドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET以下、DSM)は、米サンフランシスコに拠点を置く合成ダイヤモンドメーカーのダイヤモンド・ファウンドリー(DIAMOND FOUNDRY)と協業してファインジュエリーのプロジェクトを立ち上げ、パリ・ファッション・ウイーク中の3月4日、関係者向けのプレゼンテーションを行った。
DSMと関係の深いブランドが、ダイヤモンド・ファウンドリーの合成ダイヤモンドを使用したコレクションを制作する。日本からは「ハム(HUM)」が参加したほか、「アナ クーリ(ANA KHOURI)」「デルフィナ デレトレズ(DELFINA DELETTREZ)」「ハンロッド(HUNROD)」「ラファエル キャノ(RAPHAELE CANOT)」「ソフィー ビル ブラーエ(SOPHIE BILLE BRAHE)」の6ブランドだ。同プロジェクトのクリエイティブ・キャンペーンは、アーティストのカテリーナ・ジェブ(Katerina Jebb)が手掛けた。
ブランドやアイテムによって使用するダイヤモンドは異なるが、最大2.5カラットのダイヤモンドを使用したアイテムも展開する。価格は1875~13万6905ドル(約20万~1500万円)の予定。4月9日のDSMロサンゼルス店での販売を皮切りに、5月2日にニューヨーク店、5月末にロンドン店、7月13日に銀座店、8月にシンガポール店で順次展開するほか、DSMのウェブサイトとファーフェッチ(FARFETCH)でも販売する。
合成ダイヤモンドが宝石として出回り始めたのは最近のことで、天然ダイヤモンドとの棲み分けなどまだ確立されていない部分も多いことから、今回のプロジェクトに参加したデザイナーたちも合成ダイヤモンド市場は未知数だと語る。「ハム」の職人・貞清智宏は、「作り手が決められるものではない。『ミキモト』のパールは養殖だがクリスティーズ(CHRISTIE'S)などのオークションハウスでも取り扱われている。合成ダイヤモンドも売り出し方と、誰がどんな価値を合成ダイヤモンドに見出すかによって決まってくるだろう」と語る。一方でアナ・クーリ=デザイナーは、「天然ダイヤモンドはロマンを抱えた宝石だ。一方で合成ダイヤモンドはフレッシュでライトなイメージ。求めるものが異なるため、市場を食い合うのではなく広がっていくと期待している」と語る。
ダイヤモンド・ファウンドリーの合成ダイヤモンドは、天然ダイヤモンドをレーザーカットで紙の薄さの四角片にスライスしたものを核として製造しているという。1カラット以下の原石を作るのに2~3週間かかり、天然ダイヤモンドと同じ生成環境は作れるが、どのように育つかはコントロールが難しい。しかし、合成ダイヤモンドの需要は高く、サンフランシスコにある工場に加えてワシントンにも新たに工場を建設。現在の生産量は年間10万カラットだが、ワシントンの工場が稼働したことで今年の終わりには年間100万カラットまで増産する。