アダストリアの「ローリーズファーム(LOWRYS FARM)」が30代以上の女性をターゲットに据えたリブランディングに本腰を入れている。2018-19年秋冬からシンプル・ベーシックな路線への回帰をうたい、長澤まさみと夏帆をCMに起用するなど、モノ作りとPRの両面で方針転換。同ブランドの牧野辰彦営業部長は「20代の客数は少し落ちたが、それを補って余りあるほど30代の客足が伸びている」と手応えを話す。
同ブランドはここ数年、地方SCへの出店とともに低価格に下振れし、ターゲットもヤング層へシフトしていた。牧野営業部長は「トレンドを意識しすぎたあまりディテールが過剰なアイテムが増えていた。ブランド本来の安心感のあるテイストを取り戻す」と話す。
最も重視するのは品質と価格のバランスという。「目の肥えた女性にも自信をもって提案できる品質を、『ローリーズファーム』らしい安心感のある価格で実現する」。そのために同じような商品を極力排除し、一点一点のクオリティーを重視。アイテムごとの生産量も絞って、在庫を残さず定価で売り切る戦略で客単価増につなげている。セール品を残さないことで、鮮度の高い売り場ができはじめた。
2019年春夏からは「すべての女の子」から30代以上の「大人の女性」へターゲットの明確な変更をうたい、商品ラインアップも見直した。米国産コットンを使ったTシャツやデニムなど素材にこだわったベーシックアイテムを増やすほか、トルコのオーガニックコットンを使用したシリーズを追加し、エシカルな価値にもフォーカスする。一点一点はトラッドでシンプルだが、リネンやアースカラーなどトレンドを加味。小花柄のスカート×デニムジャケットでほどよくフェミニンな要素を取り入れたり、ストライプのワンピースにトレンチコートを羽織ることで芯の強さを表現したりと、トータルコーディネートでさりげないおしゃれを演出する。