アメリカ・カリフォルニア発の「アグ(UGG)」は昨年、ブランド設立40周年を迎えた。これを記念し、「ヘロン・プレストン(HERON PRESTON)」や「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」「サカイ(SACAI)」「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」など、米国内外のさまざまなブランドとのコラボレーションを発表。直近の2019-20年秋冬のコレクションサーキットでも数々発表しており、そのうちの1つがニューヨークを拠点とする「エコーズ ラッタ(ECKHAUS LATTA)」とのコラボだ。同ブランドは、“美大のハーバード”と称されるロードアイランド・スクール・オブ・デザインで出会ったマイク・エコーズ(Mike Eckhaus)とゾーイ・ラッタ(Zoe Latta)の2人が11年に設立。意外性のある素材を組み合わせたり、工業用倉庫でランウエイを発表したりと、枠にとらわれない活動を見せてきた彼らと「アグ」はいったいどういう経緯でコラボし、アイテムを製作したのか。エコーズとラッタの2人に話を聞いた。
WWD:そもそもブランドを立ち上げた理由は?
エコーズ&ラッタ:ファッションというジャンルで自分たちのアイデアをいろいろな人たちと共有したいという思いから立ち上げた。
WWD:デザインのインスピレーションは何から得ている?また、デザイン時には何を意識している?
エコーズ&ラッタ:物事を考えすぎないようにすることを重要としていて、何か1つのテーマを決めてデザインをしたことはない。コレクションは自分たちとチームのメンバーとの間の有機的なプロセスから生まれる。インスピレーションはかなり直感的で、たとえ後ろを振り返ることであっても成長できると信じているから、直前の仕事の影響を受けることが多い。
WWD:デザイナーとして大切にしていることは?
エコーズ&ラッタ:常に柔軟でいること。デザインとは流動性を与えることでより豊かになる。あとは、編集を明確にすることと、移り気になりそうな衝動と闘うこと。
WWD:これまでニューヨーク・ファッション・ウイークには何度か参加しているが、ニューヨークでショーをやり続ける理由は?
エコーズ&ラッタ:ニューヨークはブランドが生まれた地で、われわれの大きなコミュニティーがあり、彼らと一緒にショーを作り上げることが大好きだから。ニューヨークには居場所がある。
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WWD:枠にとらわれない活動で知られるが、ランウエイでたびたびプラスサイズモデルを起用する理由は?
エコーズ&ラッタ:「エコーズ ラッタ」を着る人は決して同じタイプの人たちだけではないから、さまざまな人種や体形のモデルを起用した。洋服は、さまざまな人たちに着てもらうことで命が吹き込まれると思っている。
WWD:19-20年秋冬コレクションで「アグ」とのコラボフットウエアとアウターを披露したが、協業の経緯は?
ラッタ:「アグ」は他に類を見ないオリジナリティーを持つカリフォルニアブランドで、協業以前から興味があったし、何より私が10代の頃に履いていた。「アグ」の代表的なブーツは、もともとはカジュアルなアイテムだったからリラックスしたライフスタイルが反映されていて、今ではファッションシーンを代表するアイコンになっている。このブーツにわれわれのエッセンスをプラスできることに魅力を感じて協業を決めた。
WWD:“ブロック ブーツ”からはクラシックブーツのDNAが感じられる。
エコーズ&ラッタ:「アグ」のクラシックブーツは、ファッションに興味があるないかにかかわらず、多くの人たちのワードローブの定番になっている。この普遍的なシューズであるという側面が気に入り、クラシックブーツにとっての本物とは何かを、「アグ」と「エコーズ ラッタ」で創り出したいと思ったからそう感じるのだと思う。
WWD:どのようにしてブランドらしさをフットウエアに落とし込んだ?
エコーズ&ラッタ:直感的なプロセスに従いながら試行錯誤を繰り返すことで、「エコーズ ラッタ」らしいデザインにたどり着いた。
WWD:協業して実感した「アグ」の魅力は?
エコーズ&ラッタ:先にも話したが、「エコーズ ラッタ」はテーマを決めてデザインをすることはない。しかし「アグ」の確立された伝統をベースにすることが、われわれにとっての新しいアイデアの出発点となった。「アグ」はわれわれのアイデアをしっかりと理解し、期待以上のレベルで形にしてくれた。
WWD:「アグ」以外にもさまざまなブランドとコラボしてきたが、コラボのメリットは?
エコーズ&ラッタ:自分たちとは異なる視点を持つ人々と一緒に仕事をすることができる。さまざまな見方や考え方をする人々と仕事をすることで、予想外の結果につながる。
WWD:今後のブランドの展望は?
エコーズ&ラッタ:着実に成長を続けながらも、デザインやブランドの精神で妥協しなかったこれまでの道のりを大切に思っている。だからこそ、これまでと同じように成長を続けていくことができればと思っている。