伊藤忠商事は15日、子会社のBSインベストメントを通じて行っていたTOB(株式の公開買い付け)が成立したと発表した。1月31日に約200億円を投じ、当時のデサント株価の約1.5倍の2800円でのTOBを発表していた。伊藤忠はこのTOBでデサント株の持ち分が40%になる。TOB発表の際にデサントの現経営陣の刷新を要求しており、2013年2月の石本雅敏氏のデサント社長就任に端を発した両社の対立は、新たなステージを迎える。
両者の対立は、伊藤忠が今年7月以降にデサント株をジリジリと買い増す中で、デサントが8月に突如ワコールホールディングスとの業務提携を発表したことで表面化。10月には繊維出身の岡藤正広・伊藤忠商事社長と石本デサント社長の会談テープが「週刊文春」に流出するなど、対立は泥沼化していた。
1月31日のTOB発表後も、両社は伊藤忠の繊維部門トップの小関秀一・専務執行役員と石本社長が4回も話し合いを持っていた。だが、それぞれの立場からメディアを通じた批判が飛び交うなど、最後まで対立の溝は埋まらず、協議は決裂していた。
伊藤忠によると、買い付け予定数の721万株に対して応募数は1511万株超と2倍近くの応募があったという。