「ミューラル(MURRAL)」は、3月18日から開催の「アマゾン ファッション ウィーク東京(Amazon Fashion Week TOKYO)」に先駆け、2019-20年秋冬コレクションのショーを16日に東京・六本木で行った。先シーズンは“毒ヘルシー”をキーワードに、代名詞だったフリルやラッフルを封印して脱ガーリーを宣言。大人の女性像で新境地を見せたが、今季はさらに「アイコンだったレースも使っていない。分かりやすい要素以外で、ブランドらしい可愛らしさをどう表現するか考えた」と、村松祐輔と関口愛弓の両デザイナーは語る。
コレクションは、村上春樹の長編小説「ノルウェイの森」から着想した。“エバーグリーン”をテーマに、“クリアリティー”“イレギュラリティー”“バイタリティー”をキーワードにした3部構成でショーは進んだ。“クリアリティー”は同小説の登場人物である直子をイメージし、光沢感のあるアノラックジャケットやボトムスなどを用いて人物像を描いた。“イレギュラリティー”ではコートの上にコートを重ねたり、スポーツ要素の強いアイテムをジャカード素材で作ったりすることで、小説の奇妙な世界観や文体を表現した。最後の“バイタリティー”では小説のテーマでもある“生と死”に焦点を当て、映画版「ノルウェイの森」のロケ地をコラージュしてプリントした、オーガンジーのトップスやスカートを披露した。
先シーズンは各席に1輪のマリーゴールドの花を置いて来場者を歓迎したが、今季各席に置かれたのはリモニューム。「変わらぬ心」「途絶えぬ記憶」「永久不変」などの花言葉があるこの花は、コレクションテーマの時を経ても色褪せないという意味の“エバーグリーン”と通ずる。インビテーションはアーティストの中瀬萌が今季のコレクションをイメージしてデザイン。得意とする蜜蝋を溶融して表面に焼きつける蜜蝋画と同じ方法で1枚1枚制作したため、質感やデザインがそれぞれ違ったインビテーションに仕上がった。
ショーにはガールズヒップホップユニット、スダンナユズユリーの須田アンナ、武部柚那、YURINOの他、横田ひかる、るうこ、Kurumi、高瀬真奈、甲斐まりか、晶、植村麻由、花之枝しほり、浦浜アリサ、関根なつみ、クロエ、椎名美月、留奥麻衣子、仲西さほみ、ベイン理紗、浅井なつみ、小森リオ、Hako、風間エイリら多くのモデルやタレントが「ミューラル」の19年春夏コレクションを可憐にまとって来場し、フロントローに華を添えた。