「フルラ(FURLA)」の2018年12月期決算は、売上高が前期比2.8%増の5億1300万ユーロ(約646億円)だった。17年12月期が同20%増だったことを考えると成長率は鈍化したが、売上高は4年間で倍増した。
「今年は統合の一年だった」とジョバンナ・フルラネット(Giovana Furlanetto)社長は振り返る。「中国とオーストラリアのビジネスを買い戻し、テクノロジーやサプライチェーンに投資した」。アルベルト・カメルレンゴ(Alberto Camerlengo)最高経営責任者(CEO)によると、同社は13年に香港の大手商社リー&フォン(LI & FUNG)の親会社であるフォン グループ(FUNG GROUP)と合弁会社を設立したが、中国、香港およびマカオの小売事業を買収し、18年から直接経営に切り替えたという。また、同社はシンガポールの事業も買い戻している。
同社は18年1月に「フルラ」のレザーグッズを長年手掛けてきた伊フィレンツェ近郊にあるエッフェウーノSRL(EFFEUNO SRL)を買収したことでサプライチェーンの強化を図った。デジタル面においては、デジタルコミュニケーションとソーシャルチャネルを中心としたマーケティングへの投資を強化し、EC事業の売上高は同45.7%増を記録した。
地域別では日本が引き続き売り上げトップで全体の22%を占める。日本を除くアジア・太平洋地域は、恒常為替レートベースで同18.2%増を記録。全体の26%までシェアを拡大した。EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ地域)は、欧州の情勢不安もあったが全体の44%を占め、前年並みに推移した。
今後の方針についてフルラネット社長は「即時に結果を求めるのではなく長期的成長を目指す。また、ディスカウントは行わない」とコメント。身売りについても否定した。「買収対象として挙がることはあるかもしれないが、若い世代が育ってきているし、長期的な投資を行っている」。
同社は今年で創業92年を迎える。昨年は業績好調を理由にIPO(新規株式公開)を見送った。現在は98カ国に約490店を展開し、直営店の数も285店舗まで伸ばした。