ストライプインターナショナルは、京都・新京極通りに3月21日オープンするグローバル戦略ブランド「コエ(KOE)」の新業態「コエ ドーナツ」を19日に報道陣に公開した。
昨年秋に完成した京都松竹阪井座ビルの1階に、全面ガラス張りの店舗を出店。店内に入ると、天井から壁面にかけて572個もの竹かごのオブジェが飾られ、網目からもれてくる柔らかな陰影が店内に温もりをもたらしている。店舗デザインを手がけた建築家の隈研吾氏は、「京都のドーナツ店ということで、和を感じさせながらも楽しさやカジュアルさを表現するために竹かごをベースにした。伝統的な六ツ目編みの竹かごを作る竹定商店さんにお願いし、寸法もすべて計算して特注した。ファストフード店を手がけるのは初めてだが、時代を変えようという(ストライプの)石川康晴社長の意気込みが感じられ、楽しい仕事になると思って引き受けた」と話す。
同店は、工場を併設した体験型ドーナツファクトリーで、石臼で粉をひくところからオリジナルのベルトコンベヤー式フライヤーでドーナツを揚げ、トッピングするまでの全製造工程を見学できるのが特徴だ。立ち席を含めて全80席あるイートインコーナーで出来立てのドーナツを味わえる。「製造工程の音を聴き、目の前で見られるので安心安全にもつながる。イートインはWi-Fiと電源も完備し、滞在時間を長くする工夫をした」(コエ事業部の篠永奈緒美クリエイティブディレクター)。
ドーナツは“オーガニック”“天然由来”“地産地消”をキーワードに、自家製の有機小麦全粒粉をはじめ、京都・美山産の美山牛乳と美卵(みらん)、国産玄米油、きび糖、和三盆などを使用し、日本らしいエシカルなドーナツとして販売する。イートインでは、口の中でふわっととろける新食感の“ドーナツメルト”など5種類を提供。テイクアウトコーナーでは、“ほうじ茶”“みたらしクルーラー”“ヴイーガンドーナツ抹茶”など、6種類の食感で37種類のドーナツをラインアップする。ドーナツ単品の中心価格は200〜350円。
店内では「コエドーナツ」のキャラクター“ドーナツ博士”を描いたイラストレーターの長場雄氏とのコラボグッズも販売する。
新規の飲食事業であるが、石川社長の期待は大きい。「国民的おやつだったドーナツが高カロリーなイメージがあるために売れなくなってきている。そこで、エシカルとウエルネスをテーマに低カロリーでオーガニックなおやつとして再定義した。それをお客さまの目の前で揚げて提供するスタイルで、ドーナツ業界にイノベーションを起こしたい」。
1号店を京都に出店し、隈氏に店舗デザインを依頼したのは、グルーバル展開を見据えてとのこと。京都店が軌道に乗れば、今後は東京、中国・広州、ニューヨークなど「エシカルマインドのある都市」への出店も視野に入れている。