2019-20年秋冬シーズンにデビューする「ケンズアイビー(KENS IVY)」が、東京・外苑前のファーナショールームで展示会を行った。同ブランドに関わるのは主に3人。ヴァンヂャケットの創業者で日本にアイビーファッションを根付かせた石津謙介の孫である石津塁がクリエイティブ・ディレクターとなり、シンゴスター(SHIGOSTAR)こと藤井進午が社長のデザイン会社オッドジョブがグラフィック全般を、「エー・フォー・ラブス(A.FOUR LABS)」や「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」でデザイナーを務める倉石一樹がプロダクトデザインを手掛ける。
アイビーファッションのキーアイテムである紺ブレが4万3000~4万5000円、ボタンダウンシャツが1万5800円。コートが6万4000円、Tシャツが5800円、フーディーが1万4800円など。アパレルデザインを担当した倉石は、「紺ブレやボタンダウンシャツには、敬意を表して大幅なアレンジはしていない。例えば、紺ブレは軽くて柔らかい特殊ニット素材のバランサーキュラーを使い、裏地を省略した。ボタンダウンシャツは、袖ぐりの縫い代を4mmほど太めに設定している。これによって、ちょっとした見た目の変化を加えている」と述べた。
コラボレーションアイテムもあり、アメリカのメンズカジュアルブランド「マーク マクナイリー(MARK MCNAIRY)」と協業したライン“マーク マクナイリー・フォー・ケンズアイビー”は約10型をそろえる。Tシャツが6800円、フーディーが1万5800円など。ほかに日本のバッグブランド「ゼプテピ(ZEPTEPI)」とは、同ブランドが得意とする半透明で軽量なキューベンファイバーを使ったバッグ2型(9000円~)を製作した。
販路はセレクトショップやトラッドショップを予定する。石津は、「ターゲットは20代から団塊の世代(現在70歳前後の世代)まで。今の若者が『シュプリーム(SUPREME)』に夢中なように、みゆき族だった1960年代後半の若者は『ヴァンヂャケット(VAN JACKET以下、ヴァン)』に首ったけだった。どちらにも『ケンズアイビー』を届けられたらと思う」と話す。
藤井は、「僕らは『ヴァン』を着て育った最後の世代。中高の制服はブレザーで、パンツは自由だったので『ヴァン』のチノパンをはいていた。シャツも学校指定のものではなく、こっそり『「ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN)」』のボタンダウンシャツを着ていた。実は塁(石津)と一樹(倉石)とは成城学園の同窓生で、『いつか“日本のトラッドの総本家”と何かできたら』と話していた」と振り返る。
Tシャツやフーディーが中心アイテムであることについて石津は、「アイビーファッションに興味を示すのは、若くても40代。20代とは分断されている。祖父の灯したトラッドの火を消したくはない。『ケンズアイビー』がつなぎとなるために、こういうラインアップになった」と答えた。コーディネートとしては、紺ブレにフーディーを合わせて足元はスニーカー。そのままスケートボードに乗るようなイメージを提案する。