「シャネル(CHANEL)」は現在開催中のスイスの国際時計・宝飾展バーゼル ワールド(BASEL WORLD)で、2000年に誕生し、20年目の節目を迎える“J12”を刷新した。00年にブラック、そして03年にホワイトを発売して以来、メゾンの時計ビジネスの中核を担う人気セラミック時計だ。
38mm径の時計からスタートした新“J12”は、パーツの70%を改良。ゆえに生産ラインにも大幅な変更が必要だが、一見しただけではこれまでの“J12”との違いはわからない。一目で違うとわかるのは、ケースバックをオープンにして、中のムーブメントを見えるようにした点くらい。しかし文字盤内の「AUTOMATIC」や「SWISS MADE」の文字を「CHANEL」のロゴと同じ書体に変えたり、ベゼルの外周の刻みを30から40に変えたり、りゅうずの大きさを約2/3に小さくしたり、時針や分針の幅をそろえ夜光塗料のスーパールミノヴァを塗布したり、ブレスレットのリンク(コマ)をやや長くしたりと改良ポイントは多岐にわたる。けれど、全体の印象はほとんど変えない。新旧2つの“J12”を並べると、ようやく気づくことができるほどだ。
「シャネル」は、ツイードのジャケット、キルティングバッグの“マトラッセ”、それに香水の“No.5”などで、“印象はほとんど変えない大リニューアル”を何度か行なっている。すでに完成されたデザインゆえ大幅刷新の必要はないが、時代とともに生産工程の技術などは進化している。「シャネル」は、これらを柔軟に取り入れるため、また、遺産を現代から未来につなげるため、“変えない変革”を続けてきた。今回の“J12”も、そんなメゾンの姿勢に準ずるものだ。新たな“J12”は6月発売、63万2000円の予定だ。