アディダス(ADIDAS)の2018年12月期決算は、売上高が前期比3.2%増の219億1500万ユーロ(約2兆7174億円)、営業利益が同14.3%増の23億6800万ユーロ(約2936億円)、純利益が同54.9%増の17億400万ユーロ(約2112億円)と過去最高の増収増益となった。
地域別では、日本を含むアジア太平洋の売上高が同11.5%増の71億4100万ユーロ(約8854億円)、北米で同9.6%増の46億8900万ユーロ(約5814億円)と好調だったが、売り上げの3分の1を占めるヨーロッパが同0.8%減の58億8500万ユーロ(約7297億円)だったほか、ロシアで同10.0%減、中南米で同14.3%減、新興市場では同12.0%減と軒並み2ケタ台の減収となった。ブランド別では、「アディダス」が同4.5%増の198億5100万ユーロ(約2兆4615億円)だったが、「リーボック(REEBOK)」は同8.4%減の16億8700万ユーロ(約2091億円)だった。
カスパー・ローステッド(Kasper Rorsted)最高経営責任者(CEO)は、「過去3年間で事業規模がおよそ50億ユーロ(約6200億円)も成長した。その成長分だけで“隣人”や、アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)の事業全体を上回る」と、同じくドイツ・バイエルン州を本拠地とする長年のライバル会社のプーマ(PUMA)などを引き合いに出した。主にスポーツ事業に投資していることについては、「トレンドは引き続きアスレジャー分野だと思うが、当社は今後もスポーツ分野に注力していく。世界で最高のアパレル会社ではなく、最高のスポーツ会社でありたい。当社には70年の歴史があり、あらゆるスポーツシューズを製造してきた。当社の強みである豊富なアーカイブを活用して、現代的に再解釈している」と語った。
カニエ・ウェスト(Kanye West)とのコラボ商品である「イージー(YEEZY)」については、「カニエの貢献で多数のモデルや新色が発売でき、より入手しやすくなったと思う。3年前には年に数モデル程度だったが、現在では20~30モデルを発売している。しかし、時にはレアモデルを出すこともある」と話し、最もインパクトがあったモデルとして、18年9月に発売した際に「ほぼオンラインのみで24時間で完売した」という“YEEZY BOOST 350 V2 Triple White”を挙げた。
同社はサステイナビリティーの推進にも熱心で、「ダボスで開催された世界経済フォーラムでプラスチック廃棄物が社会に与える悪影響は大きな議題の1つだった」ことから、18年は海から回収したプラスチック廃棄物をリサイクルして製造したシューズを500万足販売。19年にはこれを1100万足販売する計画だ。
なお、アディダスはドイツ本社の移転を予定しており、数カ月後にはバイエルン州内にあるおよそ5万平方メートルに及ぶ広大な敷地の新社屋に引っ越す。また、米ポートランドにある北米本社は2倍の規模に拡大する予定で、2年後の完成を目指している。今年1月には、中国のオフィスが全従業員を収容できる新社屋に移転した。
19年度の見通しに関して、ローステッドCEOは、「中価格帯のアパレル製品の需要が予想をはるかに超える速さで増加したため、サプライチェーンなどで供給が追い付かない事態となっており、特に北米における19年上半期の業績にマイナスの影響があると思われる」としつつも、売上高は前期比5~8%増、営業利益は同11.3~11.5%増の成長を見込んでいると述べた。