スポーツ用品大手のデサントは3月25日、新社長に伊藤忠商事の繊維部門トップの小関秀一専務執行役員(63)を迎えると発表した。6月下旬の株主総会を経て、創業家出身の石本雅敏社長(56)は退き、取締役からも外れる。取締役メンバーは韓国事業拡大の立役者である金勳道(キム・フンド、50)氏を残して一新。小関新社長を含めた伊藤忠出身者が2名、デサントから2名、社外が2名という構成になる。トップ会談のテープ流出や伊藤忠による株式買い増しとTOB(株式の公開買い付け)など、両社間で続いてきた経営対立は収束に向かうことになる。
新たな取締役常務執行役員として、伊藤忠の情報・金融カンパニー最高財務責任者(CFO)を経て執行役員監査部長を務める土橋晃氏(56)、アディダス ジャパンやコール ハーン日本法人の副社長を経て2016年4月にデサントに入社した小川典利大(のりお)デサント執行役員(49)の2人が就任。社外取締役には投資ファンドのインテグラル代表取締役パートナーでスカイマーク会長の佐山展生氏、ネスレ日本社長兼CEOの高岡浩三氏が就任する。
小関新プレジデントは1979年入社。中国ビジネスのキャリアが長く、2011年から東アジア総代表、伊藤忠(中国)集団有限公司董事長、上海伊藤忠商事有限公司董事長などを歴任後、15年に繊維部門のプレジデントに就任。今年2月に3月末での退任を発表していた。
デサント現社長の石本氏は退任発表に伴って「この度、筆頭株主との話し合いがまとまり、当社が株主の皆様の共同利益を実現するための経営・ 運営にかかわる協定書の締結および新たな経営体制について合意いたしました。この間、お客さまならびに関係者の皆さまにはご心配をお掛けし申し訳ございませんでした」というコメントを発表している。