日本輸入繊維代理店協会(JITAC)は3月28日まで、「JITACヨーロピアンテキスタイルフェア」を開催中だ。ヨーロッパのテキスタイルサプライヤーを中心にした約700社が2020年春夏向けの素材を出展している。同展で見つけたサステイナブルな素材を紹介する。
日本のペーパーヤーンを用いたイタリア生地
イタリアのベステ(BESTE)は、王子製紙が手掛けたペーパーヤーン「オージョ(OJO)」を緯(よこ)糸に用いた生地を提案した。ペーパーヤーンは、エクアドルで収穫したオーガニック認証取得のマニラ麻を乾燥させ、北海道で溶かして紙にしてから0.3mmに割き、撚糸したものを用いている。マニラ麻は、植物繊維としては最も強靭なものとしても知られる。
経(たて)糸にコットンを用いたデニム生地が目を引く。麻のようなタッチだが、ペーパーヤーンは麻のようにネップが出ずにキレイめに仕上がるのが特徴だ。ジャケットやコートやワイドパンツなどに適していそうだ。「5年前から提案しているが、今年に入り特に欧州で好調だ。マニラ麻はもともとジャングルに生育するような植物で、虫が付きにくく強いため、資源として枯渇することなくサステイナブル。また吸水性が高いのも特徴だ。日本の技術とイタリアの感性が表現されたテキスタイルだ」と、森本修ベステジャパン支社長は語る。フランスやイタリアのラグジュアリーブランドも採用しているという。
“地球にやさしいトラベラー”に向けたウール素材
イタリアのマルゾットグループ(MARZOTTO GROUP)傘下のガーベロ(GUABELLO)は、同グループ内でも特にサステイナブルな生産を目指している。“地球にやさしいトラベラー素材”を打ち出しており、中でも、大地に与える悪影響ゼロを目指した“IMPATTO ZERO”シリーズを2年前の開発。水の使用量の70%を削減し、フッ素を用いないはっ水加工によって、用いる薬剤を極力減らしたウール地を提案する。はっ水性がありしわになりにくい、ストレッチ性があるのが特徴だ。価格は通常のウールと同程度だ。
海洋プラスチックごみ製のボア地
1 / 2
高級人工ファーで知られるエコペル(ECOPEL)は、海洋プラスチックごみから再生したリサイクルポリエステルを用いたボア地を提案した。価格は2割程度割高だが、アメリカの有力アウトドアブランドが採用し商品化が進んでいるという。エコペルは、中国の大手ボアメーカーで上海証券取引場に上場している上海海欣(ハイシン)集団とフランス企業の合弁会社。植物由来で生分解性の人工ファーの開発にも取り組んでおり、20-21年秋冬向けの素材として提案する予定だ。