19-20年秋冬東コレは何が面白かった？　取材班がゆるりと討論　 後編

　3月18〜23日に開催された「アマゾン ファッション ウィーク東京（Amazon Fashion Week TOKYO以下、AFWT）」。52ブランドが思い思いのショーやイベントで新作コレクションを披露しました。前評判通り素晴らしいショーを行ったブランドもあれば、期待を（いい意味でも悪い意味でも!?）裏切ったブランドも数多くありました。そこで今回、取材班が今季のAFWTについてゆるりと討論。長年AFWTを取材してきたベテラン記者と、先シーズンから取材班に加わった新米記者が、面白かったショーやブランドについてゆる〜く語り合います。初日～3日目を振り返った前編では、ベテラン記者が“狂気的ガーリー”で何かに目覚めてしまったり、パンイチのディレクター登場に記者一同が沸いたりと波乱万丈。お待たせしました、今回は4～6日目、後編です！

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S.I：4日目のトップバッターは「アクオド バイ チャヌ（ACUOD BY CHANU）」。東コレブランドの中では、SNSのバズらせ方がうまいブランドの一角ですよね。今回のテーマは“ノックアウト ユア フェイクス”で、とあるボクシングがルーツのブランドにディテールをパクられ、そのブランドに対する反感も込めて“ノックアウト”をうたったとか。

H.I：……あのテーマにはそんな裏話があったのね！なんかザワつくわ！その話は置いといて、このブランドは本当に話題性のある人をモデルに起用するのがうまいよね。デザイナーのチャヌくんはパッションあふれる人だから、人気者たちも「チャヌくんのためにショーに出たい」って思うんだろうね。元KAT-TUNの田口くんは既に何シーズンか出てるけど、やはりお美しい。

S.I：先輩の男性の好みが少しだけ分かった気がします。

H.I：ちなみに、EXILEのNESMITHさんが出たのは恐らく初だったね。なんか貫禄出ていい感じに渋くなってらしたね、NESMITHさん。

S.I：ちょっと太りましたよね、NESMITHさん。

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S.I：約2年ぶりに東京でショーを行った「コーシェ（KOCHE）」の会場は渋谷ツタヤの屋上でしたね。ショーの演出も非常にエモーショナル。フィナーレに坂本九の名曲「上を向いて歩こう」に合わせ、来場者の頭上にある足場に集まったモデルが肩を組んだり、ハグしたりするシーンはエモみの極みでありました。

H.I：「コーシェ 」は楽しかったね～。2年前のとんちゃん通りのショーの時に続き、「ファッションは老若男女、世界中のあらゆる人をつないでいけるんだよ！！」っていうデザイナーのクリステル（・コーシェ）の心意気を感じた。

S.I：今回は“サッカー”がテーマのコレクションの他、「名探偵ピカチュウ」とのコラボもありましたね。

H.I：世界中みんな大好きなサッカーとピカチュウでみんなをつなげたんだね。昨日ユナイテッドアローズ（以下、UA）の栗野（宏文）さんに偶然会ったんだけど、「『コーシェ 』みたいな考え方を持ったブランドを日本の人にも見てもらえるって、とてもいいことですよね」と話されていて。キャスティングするためにUA本社の一室貸してあげたらしいよ。

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S.I：5日目で個人的に好きだったのが「チルドレン・オブ・ザ・ディスコ－ダンス（CHILDREN OF THE DISCORDANCE）」。アイコニックなバンダナリメイクなんかもさることながら、グラフィックがのったコートが個人的にはグッと来ました。会場が屋外で、花粉症の方はかなりやられたみたいですが……。

H.I：会場はビームス本社のテラスだったね。開放感があってとてもようございました。ただ私も花粉症だから辛かった……。翌日、インフルエンサーのマスイユウくんが「ショー自体はよかったけどあのブランドのせいで花粉症で目が開かない〜〜〜」って言って薬3錠飲んでたのはウケたけど。明らかにオーバードーズよ。

S.I：「ヒロココシノ（HIROKO KOSHINO）」のショーは素敵な演出で癒されました。ピアニストの横山幸雄さんの生演奏が、東コレ終盤の疲れた体に染みわたりました。

H.I：ヒロコ先生の服も横山さんのピアノも本当にステキ。前日にヒロコ先生のご自宅に伺ってお話を聞いたんだけど、ヒロコ先生は「横山さんのピアノを聴くと指が20本あるんじゃないかと思うわよ」とおっしゃっていて。まさにその通りだなって思いました。ファッションでも音楽でもアートでも文学でも、ステキなものにたくさん触れることってやっぱり大事だね。

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S.I：6日目は「東京ファッションアワード2019（以下、TFA）」受賞者のウィナーズデー。先陣を切った「アーネイ（ANEI）」は、演出自体はシンプルですが、なんだかほっこりしました。

H.I：私もなんかほっこりした〜。色の重ね方がとってもきれいでうっとり。同じく「TFA」に選ばれていた「レインメーカー（RAINMAKER）」もシンプルな中に静かな主張があったよね。お土産が京都の老舗お香屋さんの匂い袋ってとこもニクいよね。粋だわ〜。

S.I：そうだ、京都へ行こう。的な気持ちになりましたね。「TFA」組で唯一奇抜なショーをしたのは「ノブユキマツイ（NOBUYUKI MATSUI）」でしたね。緩衝材が敷き詰められたランウエイもさることながら、モデルに付着した羽毛が会場を舞っていて、来場者の目や鼻を攻撃しまくってました。

H.I：私も見事にくらいました。涙が止まらなかった（別の意味で）。

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S.I：TFA組以外にも、パリで発表を続けている「ビューティフルピープル（BEAUTIFUL PEOPLE）」が5シーズンぶりに東京でもショーを開催しました。場所はなんと経済産業省。初めて入りました。

H.I：普段行けないところにショーで入れるとやっぱ楽しいよね～。「ビューティフルピープル」は“表地と裏地の間に体を通す新しい仕立て”に焦点を当ててたけど、そのテーマを知らなくても、純粋に「きれいだな〜」「これ着たいな〜」と思いました。

S.I：なんかショー会場に入っただけで、自分が賢い官僚になった感が……。

H.I：その発言がなんとも頭悪そうよ（笑）。