アマゾン(AMAZON)は、初のスキンケアのプライベートブランド「べレイ(BELEI)」を立ち上げた。クレンジングから乳液、マスク、美容液など全12製品をそろえ、 “free-from(フリー-フロム、つまりアレルギーを起こすとされる成分を含んでいない)”な処方やエコフレンドリーなパッケージ、手頃な価格帯など、今の旬なトレンドを全ておさえている。価格はクレンジングシート「ミセラー フェイシャル ワイプ」が9ドル(約981円)、ビタミンCとヒアルロン酸を配合した美容液「ビタミンC + HA セラム」が35ドル(約3815円)、ヒアルロン酸を高濃度配合した美容液「ハイドレーティング ヒアルロン酸 セラム」が40ドル(約4360円)など。
コンサル会社のWSLストラテジック リテール(WSL STRATEGIC RETAIL)のウェンディー・リーブマン(Wendy Liebmann)最高経営責任者(CEO)は「ブランディングにおいてはまだジェネリックのイメージが強いが、話題のトレンドをおさえているところは評価すべき。アマゾンで買い物する消費者は積極的に試すだろう」と評価した。また、ブランドが成功するためには、ユニークなブランドアイデンティティーを確立させることが必須だと分析する。「ビューティ業界のブランドや製品のカテゴリーは細分化される一方だ。また、消費者も製品やトレンドについてかなりの知識を持っており、新しいものを試そうとしたり、興味の範囲も広がっている。セフォラ(SEPHORA)やウルタ(ULTA)などの専門店はライバル意識を持って注意をすべき」と話す。
リーブマンCEOは今回のことを、セフォラがプライベートブランドを立ち上げたときに似ているという。「セフォラは数年前、百貨店の反対でラグジュアリーブランドを扱うことに苦戦していた。それでもセフォラはプライベートブランドをラグジュアリーブランドと一緒に並べた。このような前例があるのはアマゾンにとって大きいだろう」。アマゾンも同様にこれまでラグジュアリーブランドを扱うことに苦労してきたが、非正規販売者の取り締まりを強化することを約束し、徐々にブランドとのパートナーシップを増やしている。その結果、現在「バーバリー(BURBERRY)」「サンデー ライリー(SUNDAY RILEY)」「オリベ(ORIBE)」「ビューティバイオ(BEAUTYBIO)」など、多くのハイエンドブランドを扱っている。
米証券会社ジェフリーズ(JEFFERIES)のステファニー・ウィシンク(Stephanie Wissink)=アナリストは「競争が激しくなるにつれ、セフォラやウルタに出店することは年々難しくなっている。そんな中、小さなブランドにとってアマゾンは大きなプラットフォームになる。特に商品を個人で販売しているマーケットセラーをコントロールしたいと思うメーカーは、直接アマゾンに出店するとメリットがある。アマゾンは今後、ビューティ事業を順調に成長させれば、マーケットシェアの10%を占めるまでのポテンシャルがあるだろう」と観測する。