世界最大ホテルチェーンのマリオット・インターナショナル(MARRIOTT INTERNATIONAL)のホテルブランドの1つ「ラグジュアリーコレクション」では、アンバサダーである“グローバル・エクスプローラー”とのコラボレーションを通してブランドの世界観を発信している。ファッションショーのフロントローでおなじみのソフィア・サンチェス・デ・べタク(Sofia Sanchez De Betak)やファッションデザイナーのマルゲリータ・ミッソーニ(Margherita Missoni)、ジュエリーデザイナーで俳優のワリス・アルワリヤ(Waris Ahluwalia)など、感度の高い宿泊者にアピールするアンバサダーばかりだ。そのアンバサダーの一人にニューヨーク発カシミヤブランド「リンガ・フランカ(LINGUA FRANCA)」の創設者であるラシェル・ハラスカ・マクファーソン(Rachelle Hruska MacPherson)が加わり、限定トラベルセットを制作。その発表のために来日したマクファーソンとカーリー・ヴァン・シクル=マリオット・インターナショナル グローバルブランドマーケティング部門ディレクターに話を聞いた。
「ラグジュアリーコレクション(THE LUXURY COLLECTION)」には、世界最高峰のホテルやリゾートが100軒以上加盟している。ベニスの「グリッティパレス,ヴェニス(THE GRITTI PALACE VENICE)」やドバイの「アルマハ,デザートリゾート&スパ,ドバイ(AL MAHA DESERT RESORT & SPA, DUBAI)」などユニークなラグジュアリーホテルばかりだ。日本には東京の「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町 (THE PRINCE GALLERY TOKYO KIOICHO以下、プリンスギャラリー)」や京都の「翠嵐 京都(SUIRAN HOTEL KYOTO以下、翠嵐)」、宮古島の「イラフSUI 沖縄宮古(IRAPH SUI OKINAWA MIYAKO以下、イラフSUI)」の3軒がある。
意外とつながりのあるアンバサダーたち
WWD:今回のコラボレーションの経緯は?
カーリー・ヴァン・シクル(以下、シクル):「ラグジュアリーコレクション」は世界各地の文化や人々と深く結びついたホテル。そして、「リンガ・フランカ」はニューヨークを拠点に現地の女性職人が刺しゅうしたフェアトレードのカシミヤを作っているという点で共通の価値観があると感じた。ラシェルと数日間過ごしてみて、アンバサダーとして完璧だと思ったの。そこで、旅で重宝するトラベルバッグを作ることにしたの。
ラシェル・ハラスカ・マクファーソン(以下、ハラスカ・マクファーソン):「リンガ・フランカ」にはデザインを通して人々をつなげたいという思いがある。日本からの引き合いも多く、4月末には都内の百貨店でポップアップも予定している。日本はエキゾチックだし、とてもファッショナブルでトレンドの発信地でもあるから、発表する場としては最高ね。
WWD:「リンガ・フランカ」はニューヨーク在住の女性が全て手作業で刺しゅうをしているというが何人の職人がいるのか?
ハラスカ・マクファーソン:80人いるわ。なかなか職が見つからない社会的に不利な立場の女性をサポートするのが目的よ。刺しゅうの仕方を覚え、働くことで正当な賃金が得られる。「リンガ・フランカ」は200以上のチャリティーに参加していて収益の一部を寄付しているの。少しでも社会に貢献するべきだと思うから。トラベルバッグの収益金は全てチャリティーに寄付する。
WWD:アンバサダーを選ぶ基準は?今まで誰とコラボレーションしたか?
シクル:「ラグジュアリーコレクション」のホテルに滞在するような、旅に対して情熱を持っている人物。いわゆる、ニッチなラグジュアリートラベラーね。ソフィアとはキモノ(ローブ)、マルゲリータとは子ども用のバッグを製作したわ。アンバサダーは個人だけど、実はつながっていたり、どこかで偶然知り合ったりしているから、まるで小さなコミュニティーのようなものね。
ラグジュアリートラベルの傾向はローカルな体験
WWD:クラシック、デザイン、ソーシャルなどさまざまなタイプのホテルが存在するが、現在のラグジュアリートラベルの傾向は?
シクル:いわゆる“ステータス”の意味が以前と変わってきている。自己満足のある体験ができる旅こそがラグジュアリーと感じる人々が増えている。ラグジュアリーホテルの中では常にクラシックやデザインホテルに対する需要はある。しかし、今は旅先でのローカルな体験を望む傾向が増えている。例えば、ワークショップやシェフによる料理教室への参加、プライベートショッピングももちろんそうだ。ラグジュアリートラベラーの好みはまちまちだが、誰もが語れる旅のストーリーを持っている。「ラグジュアリーコレクション」は、それぞれのホテルが個性的で、さまざまなタイプの宿泊客に合う現地の文化と結びついた体験を提供している。
WWD:例えば、今回の日本滞在はどのような旅程か?
シクル:ラシェルの家族と一緒に京都の「翠嵐」に滞在して、茶道を体験したり、竹林に散歩にいったり素晴らしい時を過ごした。東京では「プリンスギャラリー」に宿泊し、表参道にショッピングに行ったし、ゴールデン街にも行ったわ。桜が見られたのでラッキーね。これから沖縄宮古島の「イラフSUI」に行くので楽しみよ。