「アディダス(ADIDAS)」が、ビヨンセ(Beyonce)と提携することを発表した。フットウエアとアパレルで協業するほか、ビヨンセ自身のブランド「アイビーパーク(IVY PARK)」のリニューアルも共に行う。
アディダスは、「ビヨンセも当社も、アスリートウエアやアスレジャーはこうであるべきという固定観念にとらわれていない。両者が共有する価値観である“インクルージョン(包括性)”を推進し、現状を変えていきたい」と述べた。ビヨンセは、「『アディダス』はクリエイティブ面での限界を押し広げてきた実績がある」とコメントした。
「アイビーパーク」は、ビヨンセとトップショップ(TOPSHOP)のフィリップ・グリーン卿(Sir Phillip Green)が2016年4月に共同設立したアスレジャーブランド。ビヨンセの世界的な人気を反映し、発売当初はトップショップのECにアクセスが集中して購入画面で技術的な遅れが生じるほどだった。ラグジュアリーファッションECサイト「ネッタポルテ(NET-A-PORTE)」や米百貨店のノードストロム(NORDSTROM)などでも販売されている。
同ブランドは14年10月に両者が折半出資した合弁会社パークウッド トップショップ アスレチック(PARKWOOD TOPSHOP ATHLETIC)の傘下にあったが、グリーン卿が人種差別的な発言やセクシャルハラスメントをしたという疑惑が持ち上がったことを機に、ビヨンセが18年11月に全株式を取得した。今回「アディダス」と協働するが、「アイビーパーク」の全権は引き続きビヨンセが所有する。エリック・リートケ(Eric Liedtke)=アディダス グローバルブランド担当役員は、「ビヨンセは素晴らしいクリエイターであると同時に、ビジネス面でも優れたリーダーだ。協働することで変化を呼び起こし、次世代のクリエイターを力づけることができるだろう」と述べた。
近年、スポーツブランドはセレブリティーとよく提携しているが、中でも「アディダス」の長年のライバルである「プーマ(PUMA)」は歌手のリアーナ(Rihanna)やセレーナ・ゴメス(Selena Gomez)を起用して成功を収めている。またバスケットボール部門の再開にあたっては、ラッパーでビヨンセの夫でもあるジェイ・Z(JAY-Z)が同部門のクリエイティブ・ディレクターに就任した。「アディダス」は、やはりラッパーのカニエ・ウェスト(Kanye West)とのコラボコレクション「イージー(YEEZY)」を15年から展開しているが、ほぼ全てのアイテムが即完売するなどの大反響を呼んでいる。
米証券会社のHSBCが18年12月に実施した調査によれば、富裕層が好むスポーツブランドの1位は「ナイキ(NIKE)」で、「アディダス」は2位だった。中国での結果に限定すると、2月は僅差で「アディダス」が首位に立ったという。