高島屋の2019年2月期連結決算は、売上高に相当する営業収益が前期比0.6%増の9128億円で、2期連続の増収となった。ただし、本業のもうけを示す営業利益は同24.5%減の266億円と9期振りの減益。18年9月の日本橋高島屋S.C.、11月のタイ・バンコクのサイアム高島屋の開業といった「成長への先行投資」(村田善郎社長)が響いた形だ。
主力の国内百貨店事業を示す単体の営業収益は同0.6%増の7291億円、営業利益は同33.9%減の85億円だった。下期(18年9~19年2月)は台風などの自然災害や暖冬、株安などのマイナス要因に見舞われたが、「インバウンド売り上げと旺盛な国内消費に支えられ増収となった」。営業利益の減益は、日本橋への投資に加え、省力化に向けたシステム投資や販管費の増加などによるもの。
年間の免税売上高は同12%増の547億円となり、売り上げ全体の7.5%を占める。ただし、上期(18年3~8月)の免税売上高は同25%増ペースだったというが、下期は自然災害や19年1月の中国の電子商務法施行などによって勢いが大幅に鈍化。下期トータルで同1%増となった。「足元の3~4月では免税売上高は回復している」が、20年2月期の免税売上高は同10%増程度と手堅く見る。
化粧品、特選などが売り上げをけん引する一方で、アパレル売り上げは「下げ止まったとは言い難い」。特選を除く婦人服売り上げは同4.3%減、紳士服は同2.0%減だった。ただし、新宿店などで新たに打ち出した自主編集売り場は比較的堅調といい、デニムスタイルなど新たな編集売り場の創設には可能性があるという。
20年2月期の連結営業収益は前期比3.2%増の9420億円、営業利益は同16.3%増の310億円を見込む。「引き続きインバウンド消費、国内売り上げともに伸びるだろうが、米中貿易摩擦等のリスクがあり、国内百貨店事業は予断を許さない」と見る。村田社長が現職に就いたのは3月1日。「百貨店ビジネスは順風満帆とは決していえず、原資を積み上げるために大型店を中心にした構造改革がまだまだ必要だ。グループ内で異質な事業同士を組み合わせ、シナジーを生み、新しい成長モデルを作っていく」と抱負を語った。