ビューティ

ストリッパーから“金を動かす”人気ラッパーに成り上がったカーディ・B流マネー論

 大型美容イベント「ビューティコン(Beautycon)」が4月6、7日にニューヨークのジャヴィッツ・センター(Javits Center)で開催された。さまざまなビューティブランドのブース出展やメイク講座が行われ、約1万3000人を動員した同イベントの目玉は、ラッパーのカーディ・B(Caedi B)とその妹のヘネシー・キャロライナ(Hennessy Carolina)を迎えたトークショーだ。

 ストリッパーから全米チャート1位のラッパーに成り上がったカーディ・Bのヒットシングル「Bodak Yellow」の歌詞“I don’t dance now, I make money moves(今はダンスをしない、金を動かすの)”になぞらえて“Making Money Moves”と題されたトークショーのテーマはお金について。司会を務めたモジュ・マダラ(Moj Mahdara)「ビューティコン」最高経営責任者(CEO)はその狙いを「『ビューティコン』にはここ数年、“美”を再定義したい人々の多様な文化が集結してきた。次のステップは、金銭的なリテラシーを知ること」と説明する。

 トークショーは14時5分からスタートする予定だったが、カーディ・Bが乗っていたラスベガスからの飛行機が遅れ、15時半に延期に。しかしその時刻になってもまだ始まらず、結局スタートしたのは17時15分ごろだった。ついにステージに姿を現したカーディ・Bは「ダブルブッキングしちゃったのよ」などと堂々と言い訳しつつ謝罪。楽しい気分の時に発するというお得意の“eowwww”音を発し観衆のムードを盛り上げた。

 この日、「パコ・ラバンヌ(PACO RABANNE)」のビンテージコートにつばの大きなハットを合わせていたカーディ・Bは、トークショーの途中で靴を脱いだり、FワードからBワード、Sワードまで数々のNGワードを事あるごとに連発するなどしたい放題。彼女にとってはいつものことだが、観衆の中に多くいた子どもたちの教育には不適切だったことは間違いない。

 しかし、観衆はそんなカーディ・Bを温かく受け入れ、男女平等賃金、税金、経営者としての心得、貯金などお金に関する彼女の正直な意見に聞き入っていた様子だ。ある11歳の女の子は、「人生でまたとない経験よ」と自身に言い聞かせるように何度もつぶやいていた。スーパーの店員をしていた貧困時代からストリッパー、SNSスター、ラッパーへと成り上がったカーディ・Bのお金に関するアドバイスのハイライトをお届けする。

男女平等賃金について

今はちゃんと平等に給料をもらってるわ。でもデビューしたてのころ、一緒にライブをホストしていたメールラッパーを見て「観客を動員できたのはあたしのおかげなのに、なんでコイツがあたしよりもらってるわけ?」って交渉した。例えば「Bodak Yellow」のリリース前はフォロワーが1000万くらいでそれほど影響力なかったけど、なぜかあたしはいつもその街に住むみんなを動員できちゃうわけ。それでもそいつらはあたしよりもらってた。だから言ってやったの。「あいつらに払ってるレベル以上まで出演料上げないともう出ないから」ってね。

ストリッパーから学んだこと

他の誰にも自分の道を決めさせないこと。「カーディ、ストリップなんてする必要なかったよ。他の選択肢もあっただろ」なんて言ってくるやつらがたくさんいるけど、ふざけんなよ、あったわけないから!子どもに売春させた金で生計立ててる親がたくさんいるから、みんなそう言ってくるけど、あたしはそうじゃないし。リアルな話すると、週に300ドル(約3万3000円)しか稼げない仕事してて、そんなクソみたいな金でどこに住めるわけ?大学生なのに部屋も借りられない。じゃあどうしたかって?あたしは自分がやりたいことをやっただけ。

税金について

あたしが何を学んだかって?アメリカはビッチだってことよ。

経営者の心得

ビジネスの学校に行くことね。1日勉強しただけで進んだキャリアなんて幸せになれるわけないし、自分でビジネスしたくても経営を知らないとできないから。あたしはどうしてるか知りたい?あたしはバカ稼ぎしてるから、ビジネスマネジャーたちを雇っている。だってあたしはそんな学校行ってないし、自分のビジネスをするためには誰かに頼らないと。金の奴隷になるためだけに働く価値ってある?

SNS全盛期にビジネスをする心得

あたしが17〜19歳の時なんて、セレブなんてどうでもよかったわ。インターネットがあれば金を稼ぐ方法なんてごまんとあるけど、カーディ・Bとかキム・カーダシアン(Kim Kardashian)とかを気にしてばっかでみんな知らないのよね。そういうゴシップに惑わされないで。あなただって今この瞬間に稼げてるかもしれないんだから。インターネットには無限の可能性がある。成功したやつらを観察しないと。みんな「ファッション ノヴァ(FASHION NOVA)」(インスタグラムで成功したロサンゼルスのファッションブランドで、カーディ・Bがデビュー当初からサポートしている)を毛嫌いするけど、あたしは大好き。思い起こせば、「ファッション ノヴァ」がスタートしたときからあたしはそのビジネスのレシピを見てた。それで今や大成功しているブランドになってるわけ。そのレシピを観察するのよ。注目されることでバカ稼ぎしてるブロガーたちのレシピを盗むの。だってあなたも同じことができるかもしれないから。

カーディ・B一族の財産になるもの

リッチな子や頭が良い子。玄孫たちもね。

自分の家族について孫に教えること

そんなの気にしたことなかったわ。

貯金について

貯金できる余裕があるときにしか貯金ってできないもの。支払いに追われてばっかりのときに、貯金なんてできるわけないでしょ。せいぜい毎日ちまちまブタの貯金箱に小銭を入れるくらいね。みんな「もう25歳なのに実家暮らし。超恥ずかしい」とか言うけど、大丈夫。だって親の家に暮らしている間は家賃タダだし、家賃タダで親が許してくれるならその分だけ貯金できるから。

男に金を借りること

聞きたくなかったら耳をふさいで、お願い。男に金を借りたら、ヤられるだけよ。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。