スーパーモデルの登場は衝撃的だった。クラウディア・シファー(Claudia Schiffer)、シンディ・クロフォード(Cindy Crawford)、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)。スーパーモデルがお手本となって、モードとコンサバが同じ方向を向き始めた。「ヴォーグ(VOGUE)」と「JJ」を隔てていた壁が取り払われたのである。スーパーモデルがいなかったら、安室奈美恵というファッションアイコンも生まれなかったに違いない。そして、何よりもリアルなバービー人形であるスーパーモデルは、日本の女性たちの身体意識を変えた。「ナオミになろう」「メイク魂に火をつけろ」――スーパーモデルによって、女性たちが化粧と身体改造の虜になるコスメの時代が幕を開けたのである。
米澤泉・甲南女子大学教授:ファッション文化論、化粧文化論。著書に、「『くらし』の時代」「『女子』の誕生」(ともに勁草書房)など多数。現在、朝日新聞で「おしゃれ旬評」を連載中
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ファッション・ビューティ業界の若手からベテランまで「平成時代に印象に残った出来事」とは?