ネット通販ショップの作成サービス「ストアーズ・ドット・ジェーピー(STORES.jp)」は2月23日、ラフォーレ原宿に初の常設店舗「ホワイトギャラリー・プロデュースド・バイ・ストアーズドットジェイピー(WHITE GALLERY produced by STORES.jp以下、ホワイトギャラリー)」をオープンした。手軽にネット通販ショップの作れることで小さなブランドや個人のクリエイターから高い支持を獲得してきた「ストアーズ・ドット・ジェーピー(STORES.jp)」はなぜファッションビルでのリアル店舗運営に乗り出すのか。
WWDジャパン(以下、WWD):出店の狙いは?
塚原文奈CEO(以下、塚原):狙いは「ストアーズ・ドット・ジェービー」に出店する個人や小さなブランドのインキュベーションです。ブランドやデザイナーはそれを支える小さなコミュニティで成り立っています。つまり、「ストアーズ・ドット・ジェービー」は好きなものから生まれる小さな経済圏の集まりなんです。オンラインのサービスをある程度確立できたので、次はオフラインへのルートを作りたかった。
WWD:リアルな場の運営には、新たに大きなコストや手間がかかると思うが、そのリスクをどう考えている?
塚原:今回の店舗運営コストは全社の広告宣伝費として見ています。そもそも当社はこれまでリスティング広告なども含め、ほとんど広告をうっていませんでした。昨年2月1日付で決済サービスのコイニーと経営統合したことで、資金調達のスケールがだいぶ大きくなりました。2018年と2019年は先行投資の年。成長のための投資にアクセルを踏んでいる最中です。それでもラフォーレ原宿の「ホワイトギャラリー」は広告宣伝として考えるとこの1年で最大のプロジェクトです。
WWD:ストア運営に関するKPI(重要項目指標)は?
塚原:いくつかありますが、もっとも重視するのは「ストアーズ・ドット・ジェービー」全体の流通額が年間でどのくらい増加するかです。短期的な売り上げや利益の上下はあまり気にしないようにと思っています。
WWD:月間の売上高目標は?
塚原:お店のスペースは7坪、月間400万円の売り上げが目標です。
WWD:ネットの通販サイトと連動した企画も増えると思うが、デベロッパーのラフォーレ原宿との契約形態は?
塚原:先方との取り決めなので開示できませんが、基本はベースの家賃があって売上高の一定額を支払う、いわゆる一般的なテナントの契約形態と変わりません。ただ、ECとの連動は積極的に行っていく予定で、そうした店舗発ネット通販売り上げをどう計上するのかは、今後プロジェクト単位で柔軟に決めていく予定です。
WWD:塚原CEOから見た “オフライン”の価値とは?
塚原:非常に多すぎて一言ではとても言えません。ブランドの見せ方、売り出し方、接客の仕方など、新しいことだらけで手探りですが、だからこそ成長の余地も大きい。出店するブランドさんにとって一番大きいのは、新しい出合いだと思います。
WWD:運営は?
塚原:正直わからないことだらけです。基本的に運営は相羽瑠奈さん率いるレインボーシェイク(RAINBOW SHAKE)にお願いしていますが、ただ、なるべく自分たちで作るという考え方は変えていません。私たちはIT会社ですが、同時に自分たちをデザイン会社のようにも定義しています。社内にはエンジニアと同じくらいデザイナーを抱えており、今回の販促物などもほぼ自分たちでデザインしています。ただ、こうした販促物を紙に印刷したのは初めてですが(笑)。
WWD:「ストアーズ・ドット・ジェービー」の流通額は?
塚原:具体的な数字は公表していません。スタート以来、毎年ずっと前年比2倍以上のストア数と流通額は増加しています。
WWD:同じような業態のBASEより多い?
塚原:流通額はBASEさん公表していないので比べようがありません。
WWD:社員数は?
塚原:アルバイトや業務委託も含め60人です。1年前は18人だったので、この1年でかなり増えました。
WWD:服は好きですか?
塚原:大好きです。うちの会社は男性も女性も服が好きな人が多いんですよ。ラフォーレ原宿への出店は、じつはそれが一番大きな理由かも(笑)。