インテリアとデザインの祭典「ミラノサローネ2019(MILANO SALONE 2019以下、サローネ)」で、「ディオール(DIOR)」はミラノを拠点に活動するデザインデュオ、ディモーレ スタジオ(DIMORE STUDIO以下、ディモーレ)と協業したギフトコレクションの披露した。近年、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「エルメス(HERMES)」をはじめ、多くのブランドが「サローネ」で世界観を発信し存在感を増しているが、そんな中、今年はクチュールメゾンである「ディオール」がミラノ市内の瀟洒なパラッツォを借り切り、ディモーレが手掛けたコレクションをシュルレアリスムとキュビスムを思わせるセットで発表。価格帯は1500~5000ユーロ(約18万9000~63万円)。「フェンディ(FENDI)」や「ディースクエアード(DSQUARED2)」などファッションブランドとのコラボレーションでも知られるディモーレのブリット・モラン(Britt Moran)とエミリアーノ・サルチ(Emiliano Salci)に話を聞いた。
WWD:「ディオール」とコラボした経緯は?
ブリット・モラン(以下、モラン):「フェンディ」から「ディオール」にピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)最高経営責任者が異動し、「フェンディ」の時からのコラボを継続しようと話があった。「ディオール」では、クチュールの顧客らに向けてホームアクセサリーを強化しようとしていて、われわれにシックなコレクションを自由に制作させてくれた。全部で22点制作して、ここでは、14点に絞り込んで展示している
エミリアーノ・サルチ(以下、サルチ):クチュールメゾンだからゴールドやシルバー、ブロンズなどの貴金属を使用するべきだと思った。今回照明器具などに使ったラタンは、メゾンのアイコンであるカナージュへのオマージュだ。コンテンポラリーな要素を加えるためにプレキシグラスを使用している。これらはオーダーを受けてから制作に約1年を費やす特別なコレクションだ。
WWD:「フェンディ」や「ディースクエアード」などのファッションブランドとコラボしてきたが、「ディオール」とコラボした感想は?
モラン:「ディオール」はフランスのファッションを代表するブランド。驚くべきアーカイブがあって、あらゆる視点で集められた、メゾンの歴史を彩ってきた素晴らしいものがきちんと整理され保管されている。貴重なアーカイブに触れられたことは、メゾンのコードや歴史を理解する上でとても役に立ったし、クリエイションのインスピレーションになった。
WWD:「ディオール」のスタイルをどのようにこのコレクションに落とし込んだのか?
サルチ:「ディオール」は歴史があるメゾンであると同時にタイムレス、そして革新的。クラフツマンシップも素晴らしい。そういったメゾンのDNAをモダンに解釈して表現したつもりだ。
WWD:ファッションとインテリアのコラボはどのような影響をもたらすと思うか?
モラン:世の中のあらゆるものがファッションの影響を受けている。ファション業界が持つ専門知識がインテリア業界にも生かされるはずだ。ファッションとインテリアの融合は両業界にとって有益な結果をもたらすと思う。
WWD:ファッションショーなどでも姿を見かけるが、ファッション業界についてどう思うか?
モラン:ファッション業界は変化していると感じている。ミレニアルズを取り込むためにさまざまな実験を行っている。それはインテリアデザインの業界も同じこと。SNSなどで情報が拡散される時代で、今まで以上に知的なアプローチが必要だと思う。